2018 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀世界の共時性: 風俗(マナーズ)・社中(ソサイエティ)・風雅(テイスト)
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18H00620
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
張 小鋼 金城学院大学, 文学部, 教授 (60267838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉田 敦子 中部大学, 人文学部, 教授 (00434580)
坂本 貴志 立教大学, 文学部, 教授 (10314783)
伊東 貴之 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (20251499)
川島 慶子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20262941)
長尾 伸一 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (30207980)
橋本 周子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (30725073)
逸見 竜生 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (60251782)
隠岐 さや香 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60536879)
小関 武史 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (70313450)
染谷 智幸 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (90316498)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社中(ソサエティ) / 風俗(マナーズ) / 風雅(テイスト) |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は18世紀世界の共時性と相互交流の内実について、代表者、分担者がそれぞれ資料研究を行うとともに、中国人民大学から中国人研究者(毛立平准教授、牛貫杰准教授)を招いた研究集会を開催した。毛准教授は18世紀清朝の宮廷におけるジェンダーの問題を扱った報告”Gender and Institution Dilemma:Economic Predicament of Qing Princesses in 18th Century”を行い、それを踏まえて、清朝史および同時代の日本、ヨーロッパとの比較に関する討論を行った。その後今後の国際研究協力について協議を行い、本共同研究で日本18世紀学会と協力してすすめている、2019年夏の国際18世紀学会大会での韓国との共同セッション、および中国からの参加を得て日中で企画する共同セッションについて、参加者とその内容について方針を決定した。以後この点について、金城学院大学、名古屋大学での本共同研究事務局を通じ、韓国側研究者および中国の他地域の研究者と連絡を行い、概要をまとめ、日韓中計3セッションのエントリーを行って大会本部に受理され、開催が決定された。 以上の国際研究集会に加えて、本年度は代表者、分担者それぞれが分担し、各自の研究分野に従って、18世紀におけるヨーロッパとアジア、東アジア三国間の同質性と異質性、およびそれらの間の相互交流の様態について研究を深めた。これらによって、18世紀の東西では程度の差はあるが、科学・技術的知識の成長、発展、流布に並んで、マナー、社交性、テイストの洗練と広範な広がりが共通して見られ、その点で当時のユーラシアの東西は、来たる工業化によって終焉する「近世early modern」の最盛期にあったと考えられることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はおおむね順調に進んでいる。特に中国の研究機関と研究者たちとの連携が順調に進んでいる。中国では18世紀学会の組織の形態はまだできていないが、研究者それそれの研究はかなり進んでいることが確認できた。日・中・韓については、さらに以下の諸点が明らかになった。従来の国際関係の基軸であった冊封体制が、清朝が異民族支配であり、朝鮮王朝が儒教の正統的継承者であることを自任し、江戸期の日本が封建体制の下で朝、中との実質的な交流を行うなど、特殊な条件の下で緩やかな関係を取り結んでいた。日本における朱子学研究の高まりもあり、漢字文化圏内の文人間の情報ネットワークが形成され、それが一種の文芸共和国として成り立っていた。そこではハイ・カルチャーでは朝鮮王国、貿易、実用的知識面では琉球王国が、参加者であるとともに重要なハブとしての役割を果たしていた。 今回の連携により、日中韓の研究者に大変よい刺激を与えられ、今後中国人民大学を中心に中国の各大学を連携して全国規模の18世紀学会を運びとなった。また、さらに韓国の18世紀学会とより緊密に連携して、北東アジア研究をさらに深めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の国際的な研究ネットワークの展開に向けては、韓国18世紀学会と密接に連絡し、2019年7月に国際18世紀学会エディンバラ大会において、日・中・韓共同セッションを開催することとなった。
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Research Products
(3 results)