2018 Fiscal Year Annual Research Report
メイフラワー・コンパクトにおける排除/包括の理論と環大西洋文化の再定位
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18H00654
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
下河辺 美知子 成蹊大学, 文学部, 客員研究員 (20171001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 孝之 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30155098)
舌津 智之 立教大学, 文学部, 教授 (40262216)
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 教授 (40302830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メイフラワー・コンパクト / 環大西洋文化 / 植民地共同体 / 排除と包括 / ピューリタン研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
四年間のプロジェクトの初年度である2018年度は、本研究の中心的テーマであるメイフラワー・コンパクト研究の国際的現状を確認し、日本においてその研究領域のどの部分に焦点をあてて展開できるかについてさぐった。その結果、環大西洋的視座からメイフラワー・コンパクトをとらえ、イギリスと新大陸の共同体の関係に焦点をあてることが有効であるとの予測を得ることができた。 また、本プロジェクトに発展することになった基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」(2014年4月~2019年3月)の成果本出版にむけて、寄稿者を選定し寄稿依頼を行い2019年度出版に向けて準備を始めた。 2018年度はイギリス史の文脈の中でアメリカ新大陸への進出を検証するための研究会を国際、国内の両方の形で3回行った。詳細は以下の通り。①2018年6月27日 Consciousness and Ascription: Emerson and the Lonely Subject 特別講演 M. Colacurcio (UCLA教授)慶應大学三田キャンパス、慶應大学アメリカ学会に共催 ②「フェデラリスト政権と奴隷貿易:同盟、党派抗争、地域間対立」石川敬史(帝京大学准教授)③「『シマ』をめぐる日系アメリカと南部、そしてその敗北の共振:ワカコ・ヤマウチとテネシー・ウィリアムズ」牧野理英(日本大学教授) 2018年度の研究代表者、研究分担者四名の業績は、研究論文6点、学会発表 12回(内3回は国際学会)、著書6点である。四名の共同研究者は、各々、国内外での研究発表やシンポジウムでの発表を精力的に行った。また、慶應義塾大学と共催する形で二つの国際学会の場を持つことにより、アメリカの研究者との研究状況の共有を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としては、研究テーマの基礎固めを行う必要があったので、各自個別にメイフラワー・コンパクトについてのアプローチ法をさぐった。その上で、各々の専門の領域においてイギリスと新大陸植民地との関係についてどのような問題点を追及できるかを挙げていき、その点を軸に学会発表などを行った。 本研究を推進するために申請書に記載した6つの作業のうち、本年度は②と⑤において研究を進めることができた。②「この契約が作られ署名された社会的・政治的・文化的経緯を歴史の中で見ていく」については、初期アメリカ史の専門家である石川敬史氏に研究発表をしてもらい討議を行った。また、⑤「メイフラワー・コンパクトがナラティヴとして十七世紀から二十一世紀にいたるまで、アメリカ文化の中で変奏されていく経緯をたどり、「排除・包括の理論」の不変性と可変性とを検証していく」については、アジア系アメリカ文学研究を専門とする牧野理英氏に「シマ」という概念から共同体の意味を考察する発表を行ってもらい討議を重ねた。 四名の共同研究者は、各々、国内外での研究発表やシンポジウムでの発表を精力的に行った。また、慶應義塾大学と共催する形で二つの国際学会の場を持つことにより、アメリカの研究者との研究状況の共有を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度2019年度は二年目にあたるため、本プロジェクトの方向性を確定し、最終目標を視野に入れる形で研究計画をたてることにしたい。具体的には申請書にあげた六つの作業のうち、まだ手を付けていない①メイフラワー・コンパクトのテクストを、法の言説、約束の言説、信仰の言説として詳細にテクスト分析する を足掛かりに⑥の環大西洋文化の再定位にどのようにつなげていくかを検討したい。 それと同時に急激に変化する世界情勢、ことにグローバリゼーションの政治、経済、文化、ことに通信・流通の変容を軸として二十一世紀の文脈に本研究をどのように位置づけるのかという議論もしていきたい。 本研究は、個人ベースの研究と、国内外の研究者を交えて行う研究会、学会発表、シンポジウム開催を通じて研究成果を共有する形で行ってきているが、次年度もその方向は続けていく予定である。その成果を組み込む企画として、次年度は2018年3月に終了した基盤研究「マニフェスト・デスティニーの行為遂行的効果と21世紀惑星的想像力」の成果本を出版する予定である。
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Research Products
(27 results)