2019 Fiscal Year Annual Research Report
メイフラワー・コンパクトにおける排除/包括の理論と環大西洋文化の再定位
Project/Area Number |
18H00654
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
下河辺 美知子 成蹊大学, 文学部, 客員研究員 (20171001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 孝之 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30155098)
舌津 智之 立教大学, 文学部, 教授 (40262216)
日比野 啓 成蹊大学, 文学部, 教授 (40302830)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メイフラワー・コンパクト / 環大西洋文化 / 共同体と法 / 排除と包括 / ピューリタン研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
四年間のプロジェクト二年目にあたる2019年度は、本研究の中心テーマであるメイフラワー・コンパクトの契約としての本質を共同体理論にもとめ、「排除/包括」についての議論を深めることができた。ことに、この文書に込められた排除/包括の理論が二十一世紀アメリカの現在にどうつながっているのかという歴史的パースペクティヴを求めるというメタレベルの研究目的をプロジェクト内で共有することができた。 一方、本プロジェクトに発展することになった基盤研究(B)「マニフェスト・デスティニーの情動的効果と21世紀惑星的想像力」(2014年~2018年)の成果本出版にむけて、寄稿者からの原稿が出そろい、最終的な編集作業にかかり、2020年春の出版を目指した。 2019年度は環大西洋文化という文脈の中でイギリスと新大陸の共同体の関係を検証するための研究会を国際、国内の両方の形で行った。詳細は以下の通り。①2019年12月6日 Trans-Pacific, Trans-Atlantic, Trans-Chronological (アメリカ研究国際会議)Mark Seltzer (UCLA教授), Nina Morgan (Kennesaw 大学教授)Alfred Hornung (Johannes Gutenberg教授)慶應義塾大学三田キャンパス、慶應大学アメリカ学会に共催 ② 「トランスアトランティック・ゴシック:ヘンリー・ジェイムズの語り」基調発表 水野尚之(京都大学)ワークショップ 及川英(立教大学大学院)松丸彩乃(成蹊大学大学院)四方珠子(京都大学大学院)ピーター・バナード(ハーバード大学大学院)③「地上の天と頭上の天:ピューリタン起源のダブルヴィジョン」佐藤光重(成城大学教授) 2019年度の研究代表者、研究分担者四名の業績は、研究論文5点、学会発表16回(内14回は国際学会)、著書11点である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目にあたる令和元年度はメンバーは各自個別にメイフラワー・コンパクトについてのアプローチ法をさぐった。その上で、各々の専門の領域においてイギリスと新大陸植民地との関係についてどのような問題点を追及できるかを挙げていき、その点を軸に学会発表などを行った。 本研究を推進するために申請書に記載した6つの作業のうち、本年度は①と⑥において研究を進めることができた ①「メイフラワー・コンパクトを、法の言説、約束の言説、信仰の言説としてテクスト分析する」については、ピューリタン研究家の佐藤光重氏に研究発表をしてもらい討議を行った。また、⑥「環大西洋文化を再定位することで、地球規模の空間におけるアメリカの位置を再検討する」については、12月に慶應義塾大学アメリカ学会に共催する形で環太平洋、環大西洋をテーマとする国際会議を行い、また、11月にはヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』をテーマに環大西洋的ゴシック観を討議する研究発表とワークショップを行った。 2019年度の研究代表者、研究分担者四名の業績は、研究論文5点、学会発表16回(内14回は国際学会)、著書11点である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度2020年度は三年目にあたるため、本プロジェクトの最終目的を明確にしてその方向へ向けた算段を考えて、各自の研究論文執筆、学会発表、研究会企画を考えていきたい。具体的には申請書にあげた六つの作業のうち、以下の二点を中心に行いたい。③メイフラワー・コンパクトの言語的・政治的・歴史的効果を「排除/包括」の中で検証する。⑤メイフラワー・コンパクトがナラティヴとして二十一世紀にいたるまで、アメリカ文化の中で返送されていく経緯をたどる。その上で、⑥の環大西洋文化の再定位にどのようにつなげていくかを検討する。 ただし、本報告を書いている2020年6月の時点で新型コロナウィルスの流行により、日本はもちろん海外諸国も通常の活動を大幅に制限された中で経済活動、文化活動がおこなわれている。本プロジェクトでも、2020年度に行う計画をしていた研究会(ことに国際会議)や、国内外での学会発表がことごとく中止となっており、いつ実現できるかの見通しがたっていない。ことに海外での学会発表については、メンバーの多くがプロポーザルを提出して招待状を受け取っている段階で、延期になったままである。また、企画を予定していた国際会議は、招聘する研究者が日本に入国できない状況でこれも実施の見通しがたっていない。 そのような状況の中で、国内にいて、ことに自宅のネット環境の中でできる研究を最大限に行っていくことで2020年度の研究プロジェクトを少しでも豊かなものにできればと思っている。また、研究会や国際会議については、ZOOMなどのオンラインを使って実現する方策をさぐることにしたい。
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Research Products
(38 results)
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[Book] 松籟社2019
Author(s)
舌津智之
Total Pages
344
Publisher
精読という迷宮:アメリカ文学のメタリーディング
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