2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cultural contacts between Russia and the Caucasus : Dynamism of Mutual Transformation
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18H00655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楯岡 求美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60324894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 唯史 京都大学, 文学研究科, 教授 (20250962)
Grecko Valerij 神戸大学, 国際文化学部, 非常勤講師 (50437456)
伊藤 順二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80381705)
佐藤 千登勢 法政大学, 国際文化学部, 教授 (90298109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソ連文化 / ロシア語文化 / 文学 / 映画 / 演劇 / コーカサス / 公式文化 / 非公式文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の研究関係強化のため、日本から4名、ロシアから1名がアルメニアとジョージアに渡航し、研究交流および文化施設の調査を行った。映画、ラジオ関係者のヒアリングを行った。9月4-5日国際シンポジウム”Caucasus: Cross-Cultural Caucasus: Cross-Cultural Crossroads“(主にロシア語)にリリト・メリクセチャン教授(ロシア・アルメニア大学:共催・会場校)、ガヤネ・ショグヤン研究員(アルメニア科学アカデミー文化人類学研究センター)をはじめ、10名以上の現地報告者を交え、これまでの研究状況について、意見交換を行った。民族語の方言の差異を緩和するツールや国外情報を得るツールとしてロシア語が使用されていたことが明らかになった。トビリシ映画スタジオ、国立アーカイヴ映像部門でヒアリングを行った。9月9-10日に国際シンポジウム“Cross-Cultural Studies: Emic-Etic Correlation in Research and Teaching”(報告原語は主に英語)をトビリシ大学人文学部および文化人類学研究所等と共催した。 3月 アレクサンドル・カルトージア教授(トビリシ大学)の来日にともない、ソ連映画の成立とジョージアの文化人の役割について3月下旬に川崎市市民ミュージアムおよび東京大学人文社会系研究科で上映とシンポジウムを行った。 ロシア最大の演劇賞「ゴールデン・マスク」演劇祭選考委員のオリガ・ニキーフォロヴァ氏(モスクワ・プラクチカ劇場プロデューサー)をゲストの都合で急遽7月に繰り越して招聘し、ロシア演劇の多民族性、国際交流の現状について講演を依頼、今後の研究協力について打ち合わせを行った。旧諸民族共和国との距離が生まれているところもあるが、旧東欧圏を含め、文化の交流領域が広がっている状況が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度においては現地の研究者と協働関係を築き、現地調査のベースを作ることを目的をしていた。エレヴァンおよびトビリシで、共同研究者と現地研究者とで研究交流が出来た。本研究では、若手研究者との包括的な交流を目指しているが、各シンポジウムにおいて、現地の院生や若手研究者にも報告を依頼し、また、積極的に討論に誘うことができた。現地では、崩壊から四半世紀たったソ連という時代は過去のものとして反発というよりも無関心に近いようだったが、中央からの既定の解釈ではなく、歴史的距離を得た今、改めて、自分たち(コーカサス)の立場から見直すことの可能性を感じてもらえたことも、今後の研究において非常に有益である。 今年度の現地交流によって、アルメニアのガヤネ・シャゴヤン研究員(アルメニア科学アカデミー文化人類学研究所)、ジョージアのケテバン・フチシヴィリ教授(トビリシ大学人文学部・文化人類学研究センター長)、ロシアのリュドミラ・ジューコワ教授(ロシア国立人文大学・経済高等学院兼務)に本研究の方向性について意見交換を行い、現地パートナーとして、ネットワークの拡充と研究マネージメントを依頼することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の際の言語障壁が心配されたが、研究関心が近いことが幸いし、英語、ロシア語、ドイツ語などを混ぜ合わせて相互理解を測る形で親交を深めることができた。現地のリソース調査においてはもちろん、現地語の話者により一層協力を得る必要があるが、まずは、問題の共通理解を得ることができ、それぞれに研究を進めながら、随時成果を共有するベースを作ることができた。このベースを活用し、2年目の2019年度には、現地研究者を含め、「文学・翻訳」「舞台芸術」「映像」「歴史」「理論・文化政策」の各分野でコーカサスに出自や関りのある文化人たちがソ連文化形成に果たした役割について、各自の研究をそれぞれに進め、再度国際シンポジウムの形で研究成果の共有を図ることとする。
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Research Products
(24 results)