2019 Fiscal Year Annual Research Report
Collaborative Approaches to Explore Comparative Histories of Queen consort Position Rituals Within East Asian Royal Courts
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18H00700
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伴瀬 明美 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (90292797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 辰彦 東北大学, 文学研究科, 助教 (00645814)
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60376639)
江川 式部 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70468825)
豊島 悠果 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (10597727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皇后 / 中国礼制 / 後宮 / 儀礼 / 東アジア / 比較史 / 后妃 / 嘉礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
A.主要礼典・儀礼書における后位関連儀礼の解読・訳注作業:昨年度に引き続き、東アジア諸国における礼制の規範とされた唐代の『大唐開元礼』およびこれとの明確な継受関係が見出せる朝鮮王朝の『国朝五礼儀』を取り上げ、「冊后」「冊妃」を対象に解読・訳注を行ない、「冊后」についてはほぼ終了できた。 B.后位儀礼比較による中国礼制受容の具体的様相に関する研究:公開研究会「東アジア后位比較史研究会」を主な場として進めた。本年度は、中国の宗廟制度を取り入れようとした新羅の王室祭祀と王位継承との関連性を探った研究報告、江戸城の「表」と「奥」、「奥向」概念を再検討した研究報告、高麗王室の婚姻のあり方の変化を政治体制と関連させながら解明した研究報告などを得て、日本史・中国史・朝鮮史の研究者が共に活発な討論を行なった。また11月には呂博氏(武漢大学)を報告者として国際研究集会「則天武后のストラテジー」を開催し、高宗の皇后であった武則天が中国における唯一の女性皇帝として即位の正当性を構築していく過程を詳細に検討した研究報告をもとに、東アジアの皇后や女性君主をめぐって議論を深めた。 C.海外現地調査:5月にソウル特別市の朝鮮王室宗廟で執り行われる「宗廟大祭」を見学した。儀礼書にも記される厖大かつ複雑な宗廟祭祀儀礼を忠実に守って執り行われる大祭の見学によって、儀礼書解読にあたって議論となっていたいくつかの難問を解決することができた。 D.その他:昨年度から力を入れた中国語・韓国語の后位関連重要文献の全文翻訳を本年度も積極的に進め、その成果を国際研究集会の報告とともに研究成果中間報告書としてまとめた(東京大学史料編纂所研究成果報告2019-6『東アジアにおける女性君主・后妃・王族女性の諸相 国際研究集会報告集/后位関連主要論文翻訳集』2020年4月下旬刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
儀礼書の解読・訳注を行う上で重要である皇宮空間・史跡の調査は、研究開始当初から計画していたものの、これまで予算・スケジュール・研究体制等の都合により行えず、2020年3月にようやく実現をみるところであったが、COVID-19の感染拡大によってキャンセルせざるをえず、現地研究者との交流も果たせなかった。同じ理由により、儀礼書解読や研究報告のために、計画していた研究会が開催できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の流行の終息を待つ必要はあるが、オンライン会議ツール等を用いて協業的共同環境を維持したい。延期している国際研究集会、皇宮空間・史跡の調査については、参加者・調査先と継続して連絡をとっており、予算も確保されているため、状況の好転ししだい行動できるように準備をすすめる。
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