2020 Fiscal Year Annual Research Report
Collaborative Approaches to Explore Comparative Histories of Queen consort Position Rituals Within East Asian Royal Courts
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18H00700
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伴瀬 明美 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (90292797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 辰彦 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (00645814)
豊島 悠果 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (10597727)
稲田 奈津子 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60376639)
江川 式部 國學院大學, 文学部, 准教授 (70468825)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皇后 / 后妃 / 後宮 / 中国礼制 / 儀礼 / 東アジア / 比較史 / 王室 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①主要礼典・儀礼書における后位関連儀礼の解読・訳注作業、②后位儀礼比較による中国礼制受容の具体的様相に関する研究、③海外現地調査および現地研究者との学術交流、を柱として研究を行っている。それぞれについての本年度の研究報告は以下のとおりである。 ①東アジア諸国における冷静の規範とされた『大唐開元礼』およびこれと明確な継受関係が見出せる朝鮮王朝の『国朝五礼儀』における后位関連儀礼の中核である納后・冊后、納妃・冊妃の各儀礼の訳注を終え、つづいて皇后冊立儀礼において独自の発展をみた日本の立后儀礼に関する儀式書の訳注を進めて、『儀式』(巻五、立皇后儀)、『新儀式』(巻五、冊命皇后事)、『江家次第』(巻十七、立后事)の解読・訳注を行った。さらに北方遊牧民族国家である金の礼書『大金集礼』の皇后関連儀礼の解読に着手した。 ②公開研究会として開催している「東アジア后位比較史研究会」を主な場として進めた。本年度は新型コロナウィルス感染症対策のためすべての会をオンラインで行い、訳注作業のほか研究報告の場として5回の研究会を開催し、9世紀日本に長い皇后不在期間が生じた理由についての試論、皇后に関する儒教的観念とその権威に関する日中比較、女帝やキサキに関する議論のなかでとりあげられている「殯」についての実証的再検討、朝鮮末期の大王大妃の八十賀祝宴に関する史料を材料とした朝鮮王室女性関連儀礼の内容・儀礼空間の検討等の研究報告をもとに、日本における后位の特質、日中の皇后比較、後宮空間における儀礼などについて議論を深めた。 ③本年度は新型コロナウィルス感染症のため、現地調査は全く行えなかった。 ④その他として、前年刊行した翻訳論文集の反響をうけ、主要外国語論文の翻訳作業を進め、Researchmapにおいてオープンデータとして公開中の后妃関係文献目録の増補作業を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は新型コロナウィルス感染症のため、現地調査は全く行えなかったが、研究会をオンライン開催としたことで、東アジア后妃比較史研究会に中国・韓国・台湾など海外各地の研究者が参加できるようになり、現地研究者との交流はむしろ盛んになった。また、海外・国内を問わず現地調査を行えなかった分、研究会を回数・内容ともに充実させ、礼典・儀礼所の訳注を大きく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も渡航状況は厳しいと思われるが、状況が好転したならば、中国での皇宮空間の調査を行う。現地調査が困難であった場合でも、オンラインツールを利用して現地研究者との研究交流をより盛んにしていきたい。 また次年度は最終年度にあたるため、まとめの位置づけをもつ国際研究集会を開催し、研究成果のとりまとめをはかるとともに、これまで進めてきた訳注作業をまとめ、これらを次年度末に研究成果報告書として刊行する。
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