2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H00715
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 和幸 青山学院大学, 文学部, 教授 (00211904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良岡 聰智 京都大学, 法学研究科, 教授 (90378505)
原口 大輔 青山学院大学, 文学部, 特別研究員 (00756497)
森山 優 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (60295566)
小宮 京 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80451764)
大石 眞 京都大学, 法学研究科, 名誉教授 (90091660)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二院制議会 / 貴族院 / 参議院 / 議会事務局 / 議会政治史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「河井弥八関係文書」を中心として帝国議会・国会関係者の資料を総合的に分析・検討しようとするものである。本年度は、下記の通り、研究を進めた。 まず、「河井弥八関係文書」の調査分析ならびに河井日記の刊行であるが、本年度は、河井日記中の昭和30年から32年について、翻刻と内容分析を行い『河井弥八日記 戦後篇4』を刊行した。また、河井日記の内、未刊行の明治、大正期の河井が貴族院書記官を務めた時期の日記についても翻刻作業を行った。なお、河井日記の昭和16年分についても研究分担者の森山優にグループが中心となって静岡県立大学の「Working Paper Series」により翻刻公開を行った。 次に、「河井弥八関係文書」をより総合的立体的に分析するため、議会官僚や政治家の個人資料の調査・分析を行った。これでは、河井の女婿で、戦前の内務官僚で戦後衆議院議員を務めた舘林三喜男の日記の一部について、舘林家所蔵史料を複製収集した。 さらに帝国議会貴族院関係では、貴族院議員多額納税者関係資料について長野県選出の「山田荘左衛門関係文書」につき調査し、初期の貴族院の政治会派に関する研究を進めた。また研究分担者の原口大輔は、河井弥八日記を利用した貴族院議長に関する研究書を刊行した。そのほか、研究分担者・協力者は、議会史に関する研究を進めている。 なお、研究分担者間での連携を深めるために、2018年9月青山学院大学において研究会を行い、貴族院事務局に勤務し初代の参議院事務総長を務めた小林次郎の史料に関して、研究協力者の今津敏晃からの報告を聴取し知見を深めるなどの研究活動を進めた。さらに年度末の2019年3月には、静岡県掛川市の河井弥八記念館にて公開講演会と意見交換会を行い、河井弥八研究の進展を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主な研究目的である「河井弥八関係文書」の資料研究を進め、『河井弥八日記 戦後篇4』を刊行した。本書の刊行により、いわゆる「55年体制」の時期について、参議院議長の視点から政治的な諸問題を検討することが可能になり、政治史研究上の意義は大きいと思われる。また、この期間の日記は、河井が、その後消滅した文化財保護委員会(後、文化庁)の委員長として活動した記録であり、当該期の文化行政を明らかにする上でも重要であると考えられる。 また、研究計画に従い、各研究分担者が進める議会関係資料の収集や分析を進めることが出来た。特に、研究分担者の原口は、河井弥八日記を本格的に利用して、従来解明されてこなかった貴族院議長の役割を明らかにする成果をあげた。また、研究代表者の小林は初期議会における貴族院の多額納税者議員の政治会派所属の一端を解明した。そのほか、本科研費を利用して舘林三喜男の関係資料を複製収集することが出来たが、これは、今後、河井日記をより立体的に分析することを可能にすると思われる。さらに、刊行計画を進めている明治大正期の河井日記につき、内容分析ならびに翻刻作業を進めることが出来た。 また研究報告の機会として、研究会並びに公開講演会・意見交換会を開催することが出来、研究分担者・研究協力者がそれぞれ進める研究の進展を図ることが出来た。 以上の諸点から、研究はおおむね順調に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的に従い、「河井弥八関係文書」の調査研究を進める。特に刊行中の『河井弥八日記』(戦後篇)の翻刻・刊行を引き続き進める。あわせて、明治・大正期の河井が貴族院書記官を務めた時期の日記につき翻刻、史料分析を行い、戦後篇刊行後の出版準備を行う。また、日記以外の「河井弥八関係文書」は、現在、仮整理の状況であり、一般には研究への利用が進んでいないが、詳細を調査し、研究に役立てられるように検討を進める。 また、「河井弥八関係文書」をより総合的立体的に分析するため、各種公文書や、国立国会図書館憲政資料室等で所蔵する議会官僚や政治家の個人資料の調査・分析を進め、特に河井の経歴に関連する政治家や官僚の個人資料については新資料の発掘に努める。その他、国内に散在する貴族院多額納税者議員の関係史料の調査(特に香川県や長野県での調査を予定する)、あるいは貴族院事務局関係者の資料につき発掘・調査とその分析を行っていく。 上述の研究の成果を公表し、分担研究者・研究協力者の連携を図るため、「河井弥八関係文書」の所在する静岡県掛川市で現地調査および研究会や公開講演会・意見交換会を開催する。
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Research Products
(21 results)
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[Book] 日本政治外交史2019
Author(s)
五百旗頭薫・奈良岡聰智
Total Pages
286
Publisher
放送大学教育振興会
ISBN
9784595319457
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