2018 Fiscal Year Annual Research Report
日本軍「慰安婦」制度の国際比較―帝国主義諸国の軍隊と性売買・性暴力
Project/Area Number |
18H00716
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
林 博史 関東学院大学, 経済学部, 教授 (80180975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野沢 あかね 立教大学, 文学部, 教授 (00276700)
吉見 義明 中央大学, 企業研究所, 客員研究員 (40102884)
兼子 歩 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (80464692)
永原 陽子 京都大学, 文学研究科, 教授 (90172551)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性暴力 / 性売買 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本軍「慰安婦」制度について、軍隊と性売買・性暴力との関連の視点から、19世紀から20世紀の帝国主義諸国との国際比較をおこなうことによって、その世界史的な位置とその歴史的な意味を明らかにすることを目的としている。そのために日本・沖縄を含めて、比較対象とする国は、米国、英国、フランス、ドイツ、オランダなど欧米諸国と韓国である。 日本の場合、近代公娼制の展開から戦後の性売買の実態と政策のなかでこの問題を位置づける必要があるので、その史料調査を日本各地でおこない、史料を収集しつつある。特に元日本軍慰安婦が戦後に遺した日記や遊郭史料の分析を進めつつある。また韓国について、植民地時代ならびに戦後軍事政権下の性売買は日本軍と米軍と密接に関連しており、韓国での調査とともに韓国から研究者やこの問題に取り組んでいる民間団体のスタッフを招いての研究会もおこなった。 米国の国立公文書館、議会図書館、トルーマン大統領図書館、ニューヨーク公共図書館、南カリフォルニア大学図書館など米国各地で史料収集をおこなった。米軍ならびに米国政府・社会の性売買と軍との関連についての多くの史料を収集することができた。フランス軍と韓国軍の関連史料の収集に努め、重要と考えられる文献・史料の邦訳を進めてきた。邦訳作業は今後も継続していく予定である。 本共同研究の初年度として、史料調査、関連する研究文献の調査と邦訳(英語以外の諸外国語)に着手し、順調に研究は進展していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はすでに「研究実績の概要」でも述べたように、米国の各地の文書館における史料調査をおこない、多くの関連史料を収集できた。また韓国での植民地期ならびに戦後軍事政権下での軍隊向け性売買について、史料収集とその邦訳、関係する研究者や市民団体との研究交流もおこない、理解を深めることができた。 まだ収集した史料などを分析するには至っていないが、本共同研究の初年度としては、史料・情報収集に重点をおいてきたので、おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においても国内外での史料調査、関連する研究者などとの研究交流を進める。昨年度は実施できなかった英国の国立公文書館をはじめとし、英国図書館、ロンドン大学LSE図書館(女性図書館)、Society of Friends図書館、Wellcome図書館などで史料調査をおこない、英軍ならびにヨーロッパ各国の軍と性売買に関する史料を収集する計画である。また日本の公娼制に関する史料ならびに元日本軍慰安婦の日記の読み込み、分析を進める。 またフランス軍についての史料収集に努め、それに関するフランスの研究者を日本に招請して研究会を持ち、これまで情報が少なかったフランス軍についての理解を深めたい。 2019年度は、5年計画の2年目にあたり、引き続き史料・情報収集、関連する海外の研究者とのネットワーク作りを中心に進めていく計画である。
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Research Products
(10 results)