2019 Fiscal Year Annual Research Report
1949年前後の西南中国民族エリートの覚醒と帰趨に関する史料批判主義的再検討
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18H00718
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉開 将人 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80272491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 ますみ 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (30308564)
川田 進 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10288756)
清水 享 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (90511048)
岩谷 將 北海道大学, 法学研究科, 教授 (80779562)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中国 / 歴史 / 民族 / 西南中国 / 近現代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研は、少数民族(非漢族)が集住する中国大陸西南部(西南中国)の民族エリートたちが、中華人民共和国が建国された1949年を跨ぐ時期に、いかなる社会的現実の中を生き、それによっていかなる政治的選択をするに至ったのかという問題について、各分野・各地域(民族)を専門とする研究者の共同研究で歴史学的に解明を試みることを目的とした、学術的な研究プロジェクトである。 2年目に相当する本年度は、6月29日に全員が札幌に集まってミーティングを開催、また10月12日にはミーティングとあわせて、第296回北海道大学東洋史談話会として「科研プロジェクト『1949年前後の西南民族エリートの覚醒と帰趨に関する資料批判主義的再検討』秋季集会」を公開形式で開催、昨年度の個別の研究実績を披露しあい、最終年度を見据えて今後の研究計画についても討議した。 メンバー各人の調査活動は、個別に分担する地域・民族ごとに実施された。吉開・松本・川田・清水は、台湾などで様々な民族エリートの関連史料の収集を行い、それらを利用した研究成果を発表した。 岩谷は、近代政治史・軍事史の立場から、西南中国各地の非漢族に関する吉開・松本・川田・清水の研究の歴史的背景について助言し、また自らも関連業績を発表した。 昨年度に続き本年度も、研究協力者には、福建地域社会経済・土地制度史の専門家である三木聰北海道大学名誉教授を迎えた。吉開は三木を日本国内での史料調査に派遣し、帰札した三木から史料調査・研究手法を学んだ。 なお、本年度の当初の計画では、10月12日開催の秋季集会に科研メンバー外の若手研究者複数をオブザーバーとして招聘し、本プロジェクトの問題意識を次世代に広げることを計画していたが、あいにく大型台風の襲来により交通が遮断されて計画は実現せず、世代間の交流も諸般の事情で形式的なものに終わった。機会を改めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、メンバー各人が研究分担分野において調査研究を進め、それぞれに一定の成果があり、そのいくつかが関連業績として発表されている。また、メンバー全体のミーティングも、6月と10月の計2回開催することができた。 一方で、対外向けに10月のミーティングとあわせて開催することが計画された研究会は、上述のように大型台風の襲来で予定内容を変更せざるを得ず、当初の目的が果たせなかった。この補完として、来年度早々に科研メンバーの成果報告を主目的とする大型の研究会を公開形式で開催することを計画したが、昨今の新型コロナウイルスの問題でこれもまた計画取り止めにせざるを得なくなった。物理的に困難な状況ではあるが、まずは3年間の成果のとりまとめを図り、あわせて現メンバーで新規科研に応募することによってプロジェクトを継続し、研究のさらなる深化を試みる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、メンバー各人が研究分担分野において調査研究を推進する。研究代表者は本人の担当分野の調査研究を実施、あわせてプロジェクト全体のとりまとめを行い、成果の集大成を図る。 新型コロナウイルスの流行により、今年度中に中国大陸で長期調査が行える可能性が低くなったので、そのかわりに日本国内での文献調査を進め、現地文献などの各種資料の購入を積極的に進める。渡航が可能になれば、海外調査については台湾で中華民国政府・国民党系の史料の調査を行いたいと考えている。 中国当局による各種の情報統制が強化される中、中国国内の古書市場に放出されている関係資料を日本に将来するのはいよいよ最後のチャンスとなっており、書店を通じた安全な仕組みの中でそれらを収集することは、研究代表者および研究分担者すべてにとっての最終年度における最優先の仕事になる。 また、現メンバーで新規科研に応募することによってプロジェクトを継続し、研究のさらなる深化を試みる予定である。テーマは、今回の科研プロジェクト遂行の過程で浮上した「紅軍長征と西南中国少数民族社会との相互的な影響関係」という新たな問題を軸に据えたものになる見込みである。
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Research Products
(7 results)