2018 Fiscal Year Annual Research Report
Northern Expansion and Adaptation Limitations of Temperate Neolithic Culture in Northeast Asia
Project/Area Number |
18H00739
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 正宏 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (20431877)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 新石器時代 / ロシア極東 / 日本列島 / 環境適応 / 国際学術交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度に実施した主な調査研究は、以下の通りである。 1)ユダヤ自治州における遺跡発掘調査:ハバロフスク地方郷土誌博物館と共同で、ロシア連邦ユダヤ自治州西部に所在するビジャン4遺跡とルチェイキ1遺跡で発掘調査を実施した。ビジャン4遺跡では、新石器時代中期前半コンドン文化の土器・石器からなる遺物集中が検出されたため、調査区を拡張して調査を行い、遺物を回収した。ルチェイキ1遺跡では、新石器時代中期マルィシェボ文化、同晩期リブノエ湖段階、古金属器時代前半期ウリル・ポリツェ文化の活動が重複する地点に所在する竪穴住居を完掘した。調査区内で詳細調査を行い、新しい方から順に、第Ⅰ段階:現代に近い時期(ソ連時代の入植期)、第Ⅱ段階:中世・靺鞨文化期、第Ⅲ段階:古金属器時代:ウリル・ポリツェ期、第Ⅳ段階:新石器時代晩期・リブノエ湖段階という遺跡形成・埋没過程があることを明らかにした。 2)サハリン北部・千島出土新石器時代前期遺物の資料調査:サハリン国立大学考古学教育博物館において、サハリン北部レブィルチェイ2遺跡、南千島マロクリリスコエ・ルィバキ3・ヤンキト2遺跡出土遺物の観察・分析を行った。 3)北海道オホーツク海沿岸における更新世末/完新世初頭の遺跡立地環境調査:猿払町~門別町にかけて、更新世末~完新世初頭の遺跡立地環境に関する現地調査と遺跡の保存状況確認調査を行った。 4)韓半島における新石器時代前半期土器の調査:東北アジアにおける新石器化のプロセスを考える上で看過できない韓半島南部における出現期土器の調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、ロシア極東大陸内部・ユダヤ自治州における遺跡の調査研究を主軸に据えた。夏季の現地調査により予想外に多量の結果が得られたため、整理分析に時間を要している。これまでに調査が進んでいない地域であったが、今回の調査によって、小興安嶺以西のアムール流域、アムール川の対岸となる中国東北部との間における先史文化交流・接触関係に関する重要な知見が数多く得られた。 サハリンと北海道では、最新情報の把握に努め、次年度以降に本格的な調査を実施するための事前調査を行うことができた。 ほかに周辺地域(韓国)で関連資料の調査を行うことができ、研究課題における視野の拡大をはたせた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ユダヤ自治州における現地成果では、本研究のテーマに直結する新石器時代前期~中期だけでなく、温帯性先史諸文化の北方拡大に関する新石器時代~中世の資料が多数得られた。本研究課題の本質的なねらいを達成するためには、環境適応史を歴史動態的に把握する必要がある。そのためまずは、今年度出土資料の整理・分析を次年度以降も時間をかけて慎重に進める必要がある。また同時に、周辺地域における並行期の様相を広域的に捉えていく必要がある。
|
Research Products
(13 results)