2019 Fiscal Year Annual Research Report
Security Policies in the Age of War on Terror: Comprehensive Studies on Security Partnerships between Japan and the Middle East
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18H00822
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 恵 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40390702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧原 出 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00238891)
鈴木 一人 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (60334025)
宮本 悟 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (70412137)
鈴木 均 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 上席主任調査研究員 (80414077)
小宮 京 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80451764)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国際安全保障 / セキュリティ / イラン / イスラエル / 北朝鮮 / トルコ / カタール / UAE |
Outline of Annual Research Achievements |
2年度目である平成31年度/令和元年度においては、初年度で着手した、中東のセキュリティをめぐる国際的な主要な研究機関との協力関係の強化を行って幅広く実績を積み、セキュリティに関する日本の省庁・専門機関における実務家との協議の場を設けて活用し、非公開・公開の研究会やヒアリングの場を設けると共に、先行して公開の研究発表を大規模に行うことで、2001年9・11事件以来の中東の国際安全保障に関する日本の関わりをめぐる研究体制の構築が進んだ。 4月には、研究代表者の池内恵がトルコのバシュケント大戦略研究センターの在外客員研究員(Non-Resident Scholar)として、バシュケント大が独コンラート・アデナウアー財団と毎年共催するイスタンブール安全保障会議の企画段階から関わり、パネルの設定と登壇を行なって日本・中東間の安全保障協力の歴史と現在の検討を行い、5月にはイスラエルのヘブライ大を訪問しヘブライ大副学長(国際担当)との協議の上、池内の所属機関である東京大学とヘブライ大との包括的な連携の枠組みに合意し、調印した。10月にはイスラエルのテルアビブ大が、前年度に続くラウンドテーブルの2年連続開催のために、先方負担による大規模な代表団を編成して来日し、非公開の研究者・実務家によるラウンドテーブルに加えて、東京大学における公開シンポジウムの開催に発展した。 UAEアブダビのグローバルセキュリティ防衛研究所に池内が在外専門家として関与し、共同研究の枠組みを設定し、池内研と双方のウェブサイトで日本と中東間の安全保障協力をめぐる英語による分析を常時公開すると共に、そのアラビア語版をドバイの新聞Alroeyaに随時掲載する枠組みを設立し、国際的な成果発表・情報発信・アウトリーチの体制を、研究対象である中東の中に設定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中東の主要国・有力国の主要な研究機関との関係を構築し、中東と日本の研究者・実務家が情報を寄せ合い、セキュリティ問題の歴史と現在を検討する場を構築できたことが最大の成果である。国際的な連携では、トルコのバシュケント大戦略研究センターに在外研究員として籍を置き、「イスタンブール安全保障会議」に企画面から関わったことと、UAEのグローバルセキュリティ防衛研究所の在外専門家として英語・アラビア語による日・中東関係に関する調査研究の発表の場を得たことが大きい。また、イスラエルとの関係では、前年度に初回のラウンドテーブルをテルアビブで開催したのに続き、この2年度には東京での第2回ラウンドテーブルに加え、第1回公開国際シンポジウムの開催に成功し、本来であれば最終年度に行うべき国際的・国内的なアウトリーチ活動を2年次に実現している。テルアビブ大学モシェダヤン中東アフリカ研究センターからは令和2年度における客員教授としての自由な渡航・滞在・調査研究・研究協力活動の実施を依頼され、日本・中東間のセキュリティ協力に関する調査を継続的に中東の現地に拠点を置きながら実施する体制が、前例のない規模で整った。国内の実務家と海外の中東専門家の非公開での議論の場として設定した先端研セキュリティ・セミナーが定着し、イスラエル宇宙庁義長をはじめとした、国際的に最有力の専門的実務家が来日し日本の専門家・実務家と、日・中東のセキュリティ分野での協力関係に関する知見を共有する場の設定を果たせたことが、2年次の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
最初の2年間では計画を超えた進展を見せていた本研究課題だが、最終年度の3年次は新型コロナ問題により、多大な困難が予想される。国際的な移動の制限が強く課されていることから、2年次までに盛んに行なっていた海外出張による海外研究機関や国際会議での研究協力を通じた調査研究の進展は大幅に阻害される。同様に、2年次に活発に行なって、中東諸国からの専門家・実務家の来日の受け入れによる研究活動の活性化も一時的に途絶することになる。 これに対して、オンラインによるリモート会議を積極的に活用することにより、国境を横断した出張による人的交流を最小限にとどめたままで、研究を進展させ、成果の導出につなげる態勢を構築することを、最終年度の課題とする。2年次までの活発な海外渡航・海外からの来日専門家の受け入れによってすでに構築した公式・非公式の協力枠組みとネットワークは、リモートへの移行において大いに活用できると見込まれる。現地出張が年度を通じて困難となる見通しから、海外から近年に帰国した研究者を雇用して本研究課題の国際的なリモート展開を推進することに専従させ、バーチャルな国際共同研究の場を設定することで、本研究課題を新型コロナ問題による障害を超えて推進することを、最終年度における新たな課題としたい。
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Research Products
(23 results)