2020 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少社会における世代間の自助・共助に関する研究
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18H00865
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
黒田 達朗 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 教授 (00183319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 和俊 同志社大学, 経済学部, 教授 (00329749)
玉井 寿樹 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (00456584)
相浦 洋志 南山大学, 経済学部, 准教授 (50511177)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東京一極集中 / 都市再生 / 居住地選択 / 所得格差 / 企業移転 / 産業構造の変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本年の2月頃から日本にも波及した新型コロナウィルスによる国内の居住地選択の変化について、新聞、雑誌、ウェブサイト等の記事を中心に資料を収集し、直前まで継続していた東京一極集中の変化を確認する作業を続けた。確かに、本社の地方への移転や林間部への転居などが話題になることは多かったが、結果的には、都心から関東内の縁辺部等への転居が多く、必ずしも東京都市圏外への人口移動が顕著とは言えない。また、逆に都心に近い集合住宅の価格の上昇が見られるなど、一時的に在宅勤務等が以前より増加しても、一極集中の本質は変わらないと思われる。 また、産業構造の変化に伴う大都市圏の衰退と再生に関する事例を、米国のニューヨーク市を対象として、20世紀中盤から21世紀初頭における政府等の公共部門における誘導政策と民間による投資それぞれの成功事例と失敗事例を分析し、居住地の移動を中心に人種や所得の違いによる影響も確認した。その結果、公共部門の再開発、不動産関連の民間投資のどちらの場合も、それによる荒廃した地区の再生(ジェントリフィケーション)が進むに従って、不動産価格の上昇による低所得層の流出が起こっていることを確認した。特に、1990年代に始まった連邦政府のエンパワーメント・プログラムのように、他都市では低所得層への負の効果が見られなかった政策についても、ハーレム地区においては比較的所得の高い白人層の流入と、低所得の黒人層の流出が起こったことを統計資料によって確認した(黒田、2021年2月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響により、当初、参加・発表を予定していたイタリア開催の欧州地域学会や国内の学会が中止となり、学会での討論も参考にして、今後の研究計画を再確認することができなくなった。また、同じ理由で首都圏や他都市への出張が困難となり、データの入手や、関連する研究者との議論ができなかった。同様に、研究分担者との議論や研究内容の再検討も容易ではない状況が続いたため、研究費の繰り越しを行い、予定していたスケジュールを後送りすることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究費の繰り越しの理由書にも記載したように、全体に研究スケジュールを後送りした。しかし、新型コロナウィルス感染症は2021年度にも終息しなかったので、海外の学会等での発表等はやはり行えなかったが、研究分担者等とはコロナの感染状況が比較的落ち着いている時期に対面での議論をある程度は実施できたので、今後も継続する予定である。
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