2018 Fiscal Year Annual Research Report
租税に対する政策選好:納税意識と税制改正の影響に関する計量分析
Project/Area Number |
18H00868
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
玉岡 雅之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (90197559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 晃弘 東洋大学, 経済学部, 教授 (10453854)
横山 直子 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319891)
宮崎 智視 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (20410673)
中澤 克佳 東洋大学, 経済学部, 教授 (20453855)
大野 裕之 東洋大学, 経済学部, 教授 (50285459)
亀田 啓悟 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80286608)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 納税意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,アンケートの設計および研究集会を通じた意見交換を行った.その際,関連する先行研究については代表者および研究メンバーで論考を執筆したり,研究集会で報告をしたりした. まず,アンケートの設計に際しては,World Value Survey(WVS)とそれに基づいた海外の研究を基に,主として納税意欲と納税順守行動に関する項目についてまとめた.消費税増税・財政再建については,ドイツを対象としたBernd Hayo・マールブルク大学教授たちの研究を中心にまとめた.Hayo教授は海外研究協力者でもある.実際に,神戸大学における研究セミナーである六甲フォーラムにプロジェクトの一環として招聘し,関連研究の報告をして頂き,かつプロジェクトへのサジェスチョンも頂いた. 研究集会においては,上記の研究のほか,消費行動に関する研究や,政治的要因を考慮したtax moraleに関する研究についても紹介された.以上の項目も,アンケートの設計において考慮することとなった. 研究成果物のうち,「Tax Moraleと租税道徳:行動財政学序説」においては,内外の関連する文献を基にtax moraleの定義および日本語訳を定めた.Tax moraleを巡っては,従来「租税道徳」と訳されていたものについて検証を加え,その性質も踏まえると「自発的な納税意欲」と正しく訳すべきとの提言を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,今年度にアンケートを設計し,かつ実施にもつなげることを目指していた.しかしながら,消費税の8%から10%への増税が,2019年10月に延期となった.今回のプロジェクトの目的は,増税の「直前」に意識調査を行い,かつ決定後にもアンケートを行うことで,実施前後の意識を比較することであった.しかしながら,消費税増税の延期が決定したことを踏まえると,アンケート実施のタイミングとしては2018年度は適切ではないと判断される.このため,次年度に調査を行うことが適切と判断した. しかしながら,アンケートの実施に際する制度設計については,プロジェクト参加者間での討議と,サーベイ及び上記の論考も踏まえ,十分に実施できる環境は整っていることを付言したい.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,アンケートの実施を行う.第1回目のアンケートを基に,自発的納税意欲および消費税増税への賛否と,回答者との属性を整理したい.その際,自発的な納税意欲が高い一方,消費税増税には抵抗が強いことが予想される.このことをある種の「tax payer paradox」と捉え,アンケートで確認されるか否か,またその要因は何かを検証したい.
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Research Products
(2 results)