2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H00918
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉倫 東北大学, 文学研究科, 教授 (90196288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 宏 東北大学, 文学研究科, 教授 (40388723)
永吉 希久子 東北大学, 文学研究科, 准教授 (50609782)
瀧川 裕貴 東北大学, 文学研究科, 准教授 (60456340)
中井 豊 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (00348905)
武藤 正義 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (00553231)
関口 卓也 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (70780724)
浦川 邦夫 九州大学, 経済学研究院, 教授 (90452482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会的排除 / 計算社会科学 / 社会的不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はプロジェクト2年目であり、社会的排除の動的過程分析を実質的に進めた。具体的には次のような知見を得ることができた。 (1)異なる社会領域における排除とそれらの領域間のリンクを解明するために計算社会科学の手法を用いることの有効性を確認し、分析を始めた。(2)社会的排除をフォーマルに表現するためにボルツマン=ギブス分布シミュレーションを利用したモデルを構築した。(3)囚人のジレンマ状況における第三の手として「様子見」を定式化してシミュレーションを行い、自発的な離脱が社会的排除に繋がるメカニズムのための研究をすすめた。(4)集合的意思決定状況を模したシナリオを配布し、結果への選好や手続き的選好について調査した。シナリオは、集団内の意見の分布や、登場人物の結論とそれに至る動機などにバリエーションがある。結果として、少数派に属する意見が結果的に採用される手続きが複数あった場合、少数派の意見の内容によって、手続きへの支持が割れる場合と、偏る場合があることなどがわかった。(5)大規模なアンケート調査の個票データを用いて、主に生活時間の貧困が健康や社会活動に与える影響について、計量分析を用いて明らかにした。(6)移民と日本人の間の交流機会には接触機会や選好によっては説明されない国籍差があることが明らかになり、その背景にはエスニック・ヒエラルキーの影響があることが示唆された。(7)社会的排除の背景にはさまざまな言説がある。それらの言説の「意味」を取り入れたエージェント・ベースト・モデルの構築に取り掛かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の主な研究活動は次の3つである。(1)2019年6月に海外共同研究者であるピーター・ヘデストロームとサラ・バルデスの所属するリンショーピン大学分析社会学研究所を訪問し、研究発表をするとともに情報交換をした。(2)2019年11月に九州大学で研究会を開催した。(3)2020年2月に東北大学で研究会を開催した。 これらの研究会を通してプロジェクト・メンバーが自らの研究を推進するともに、班の間の情報交換を進めることができた。その結果、本年度の活動はおおむね順調に進展したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度なので、プロジェクト全体としての研究成果をまとめて報告書を作成する予定である。 研究会は3回程度開催する予定だが、新型コロナウイルスの感染状況によっては(効率性はリアルな会議よりも落ちてしまうが)テレビ会議に切り替えることも検討している。
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Research Products
(21 results)