2018 Fiscal Year Annual Research Report
情報環境の構造転換にともなう世論の〈極性化〉―― その実態とプロセスの解明
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18H00926
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 大介 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (50292785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 麻子 関西学院大学, 文学部, 教授 (30273569)
田辺 俊介 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30451876)
小笠原 盛浩 関西大学, 社会学部, 准教授 (00511958)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 世論形成過程 / 集団極性化 / ネット社会 / 民主主義 / 調査研究 / 情報行動 / 政治意識 / 社会意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2019年7月の参議院選挙後に実施予定の、全国18~69歳を対象とした質問紙調査(以下、本調査)に向けて、調査研究全体のフレームを策定し、調査票の素案を完成させた。 その準備作業として、まず2018年5月に第1回の全体研究会を実施し、研究計画の大枠を協議し、当面の役割分担を確認した。あわせて、研究代表者がすでに2017年に実施済みのウェブ調査データを研究メンバー全体で共有して予備的分析を進めた。その分析結果の一部は、2018年9月の日本社会学会第91回大会で報告した(辻大介・齋藤僚介「ネット利用による意見・態度の〈分極化〉を検証する」)。 同月、第2回の全体研究会をおこない、データ分析の基本フレームと統計解析手法(分位点回帰、一般化順序ロジット/プロビット・モデル、操作変数法による因果推定)の妥当性を確認するとともに、関連先行研究をもとに予備調査(ウェブ調査)に加えるべき設問案を検討し、予備調査の原案を策定した。その後、研究メンバーごとの役割分担に応じて、個々の設問をさらに詳細に検討したうえで、ウェブ調査票を完成し、11月に実査をおこなった(データクリーニング後の有効回答数は5181ケース)。 このデータについて研究メンバー各自に分析を進め、本調査に向けた個々の設問案と分析フレームの妥当性を検討。2019年3月に開催した第3回の全体研究会のおいて、プレ調査の分析結果をもとに、本調査に向けて設問の取捨選択・修正検討をおこない、本調査用の質問紙原案(第1次草案)を策定するとともに、成果報告のための次年度の計画について議論した。 また同月には、本調査の委託事業者を選定する公募型見積り合わせを実施。本調査の実査に向けてサンプリング方法などの具体的な準備作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時よりも研究経費が減額されたため、民間研究助成に応募して減額分の補充を試みたが、残念ながら不採択であり、やむを得ず研究計画の一部変更を迫られたが(マスメディア、インターネット上の報道・記事の内容分析とテキスト解析作業の保留)、研究計画の中心をなす質問紙調査については、プレ調査(ウェブ調査)を実施することができ、そのデータ分析も含めて本調査の準備作業がおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、本調査の実施およびそのデータ分析と研究成果の公表に向けての準備作業が中心となる。 本調査は、全国18~69歳を対象とし、120地点の住民基本台帳をもとにして層化二段無作為抽出を行ない、訪問留置法により質問紙を配布・回収。有効回収数1200ケースを目標とする。2019年7月初旬までを目途として調査協力者の抽出・協力依頼を終え、7月下旬に実施が予定されている参議院選挙終了後、ただちに実査にとりかかる。質問紙調査票の原案はすでに作成済みであるが、参議院選挙で争点となる政策や公約に関する設問を含めるため、調査票最終版の確定は6月末までとする。実査の完了は、調査協力者への督促期間も含めて、9月中を予定している。 本調査とあわせて、10~11月には、別途採択済みの民間研究助成によるウェブ調査(2018年のプレ調査の対象者を追跡したパネル調査)をあわせて実施する。この第2波ウェブ調査からは、第1波とあわせて1年の期間をおいた縦断的調査データが得られるため、この間の個人内の変化と時間差を利用した因果推定が可能となる。また、無作為抽出による本調査と、重要な設問項目および属性変数を共通にしているため、それらを用いて補正(ウェイティング)をかけることで、より妥当性・信頼性の高い分析結果を得ることができる。 研究成果の公表については、まず、昨年の第1波ウェブ調査データの分析を9月までに進め、その結果をもとに、10月の日本社会学会第92回大会において研究分担者・連携研究者とともに共同連携報告を行なう予定。その後、本調査および第2波ウェブ調査のデータクリーニングが終了次第、分析にとりかかり、専門書籍の公刊および学術誌等への投稿に向けた作業を進める。
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Research Products
(4 results)