2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development and application toward technology education of curricula which enhances practical prospect of academic ability based on system thinking
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18H01018
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤本 登 長崎大学, 教育学部, 教授 (60274510)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リスク / システム思考 / VR探索 / 教材開発 / 発電所 / 農薬 / 遊具 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,システム思考をベースとした電力需給システムに関する技術の評価・活用に関して,新学習指導要領を踏まえつつ,生徒のリスク・システム思考の概念構築を図るカリキュラム・教材の開発と,その検証を行う。そこで,まず,リスク・システム思考の現状把握・分析として,米国のウォーターズ財団やBarry M. Richmond等の実践例を調査した。また,JIS9700:2013におけるリスクアセスメント及びリスク低減について,遊具(滑り台)に関する誤使用の明確化と危険源の同定による対策立案の検討を題材に授業実践を行った。その結果,リスクに対する理解度や多角的な技術評価が向上し,技術の社会的な意義に気づかせることができたが,製品の構造や機能を見るための視点の獲得には困難な状況があり,繰り返し学習の必要性が再認識できた。また,生物育成に関する技術では農薬を題材としたリスク認知・評価に関するカードゲームを考案し,中学生に対して授業実践を行ったところ,農薬の適切な使用や効果,技術的な意義を見いださせることができた。 そして,電力需給システムを題材にリスクとシステム思考の概念構築に活かせるようなカリキュラム・教材の開発については,まず,既存の授業実践の分析から,リスクについては発生確率に対する認識が低く,電源の同時同量に対する意識は皆無であった。この問題を解決するために,発電所見学に代わるVR探索教材を作成するために,関連団体・企業等との協議を進め,作成方針や内容を検討した。その結果,原子力発電所にかかわらず,保安設備や位置情報を排除した形であれば企業等の協力が得られたことから,LNG火力発電所,原子力発電所,水力発電所,基幹変電所,蓄電変電所,配電指揮所等の現地調査を実施し,開発に必要なVR教材開発システムの基本設計とプロトタイプの制作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
システム思考の体系化を行うための文献収集を行ったが,既存の学習内容や授業の分析が途中である。また,VR探索教材の開発は,企業との調整が難航したため調査開始が予定より半年弱遅れ,撮影画像・映像から保安設備等を排除する修正に予想以上に労力が必要であり,撮影上のノウハウを獲得するのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
企業との協力関係は2018年度の成果から良好であり,2019年度の調査開始は予定通り実施可能である。また,本教材を用いた授業実践を9月から公立学校で実施する計画であり,それに合わせた作業工程で開発を進めている。なお,保安上の理由から教材化が最も困難な原子力発電については,CGの活用やエネルギーパークなどの既存学習施設の教材等を活用することで,開発期間の短縮と経費の削減を図ることとした。そして,作成したVR探索教材は,授業実践での使用前に,協力企業や実践協力校の教員の評価を得ることで改善を図る。なお,VR探索教材で使用していたHUAWEIのタブレットが,米国の規制によってかなりの制約を受けることが判明したことから,実践授業で使用するための代替品の調達を検討する。 生物育成に関する技術では,2018年度に開発したカード教材の改善と授業方法の検討を進めることで,「リスク」「システム化」といった視点への理解度や活用度といった評価指標の測定を実施し,教材の有用性や課題を明らかにする。 情報に関する技術では,ロボット教材や制御学習を活用したシステム思考学習について,小・中・高校生を対象にしたものづくり教室等を活用して,学習内容や評価手法の検討を進める。
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