2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Internationalization at Home in Asian Higher Education
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18H01026
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
末松 和子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20374887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北出 慶子 立命館大学, 文学部, 教授 (60368008)
尾中 夏美 岩手大学, 教育推進機構, 教授 (50344627)
高橋 美能 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60574168)
米澤 由香子 東北大学, 国際連携推進機構, 准教授 (60597764)
黒田 千晴 神戸大学, 国際教育総合センター, 准教授 (30432511)
島崎 薫 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (70746966)
水松 巳奈 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (30726211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際共修 / 異文化間教育 / カリキュラムの国際化 / 内なる国際化 / 多文化間教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
欧米豪で進む高等教育の「内なる国際化」とりわけ留学生と国内学生の正課内外国際共修に着目し、国内の実態調査、海外施策・実践比較研究、日本をはじめとする非英語圏の高等教育現場に適した国際共修教授法の開発、また国際共修の効果検証を通して日本やアジアに特化した国際共修や「内なる国際化」の在り方を明らかにするという本研究の目的に沿って、日本における国際共修の実践実態の把握、「内なる国際化」が進む海外主要国の施策および実践比較研究を通して理論構築を行い、日本やアジア独自の国際共修を考察するための基礎研究を進めた。また、発展的・包括的な国際共修カリキュラムおよび教授法を開発し、国際共修の効果検証を正課外にも拡大することで海外留学の準備や代替としての国際共修を「内なる国際化」の枠組みで捉え、その有効性の明示と政策提言を行うための準備として、論文・学会発表で基礎研究の結果をタイムリーに発信した。 具体的には、文献調査やペダゴジー研究を中心とした基礎研究の成果を国内外の学会で報告し、ワークショップでは、国際共修を実践する上での授業やシラバスのデザイン、教育実践者に求められるファシリテーション・コンピテンシー、課題及びその対処法、評価、について有益な議論を展開することが出来た。ワークショップの運営についても国際共修の研究者、教育実践者より建設的なフィードバックを得ることが出来、今後の研究の発展に資する知識基盤の形成につながった。 また、国内における国際共修実態調査を実施するためのパイロット事例調査も実施した。日本の高等教育機関における国際共修の実践状況と課題を明らかにするために実態調査を計画しているがその準備にも着手し、来年度の発展研究に向けた下地作りを行うとともに、本年度実施したワークショップの発展版を国内外で実施するための申請作業を集中的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた国際共修実態調査は、国際共修に関する書籍の編集作業に追われたり、研究デザインや担当がつめきれず、来年度への繰り越しを余儀なくされた。代わりに、パイロット調査を実施し国際共修の教授法のみならず効果検証にも焦点を当てた調査を進めることで計画を練り直し、結果的により網羅的な完成度の高い研究計画を立てることが出来た。また、来年度以降予定していた研究成果の発表については、既に異文化間教育学会、留学生教育学会、AIEA(Association of International Educators and Administrators)の研究大会にてワークショップ等の実施を通して前倒しで行うことが出来た。つまり、本年度と来年度の研究が一部入れ替わる形になったが、俯瞰すれば満足できる研究成果をあげることが出来た。 研究チームのメンバーがそれぞれプロジェクトに貢献し、上記のワークショップに参画したが、中には予定が合わず、協働の機会に恵まれないメンバーもいた。一方で、研究プロジェクトチーム外の研究者との連携が生まれ、研究に新しい側面での発展が見られたため、来年度は一部メンバーを入れ替え研究を推進することにした。具体的には、AIEAで共同発表を行った他大学のメンバーは国際共修に関する研究や教育を実践しているだけでなく、ノウハウを拡散するための教職員ワークショップのあり方をも研究テーマとしている。また、現在、共同研究を企画し始めた非メンバーは、本研究では未着手の正課外の国際共修に関心を持っており、来年度の連携の発展次第ではメンバーに招聘することも検討したいと考えている。このように、本プロジェクトの推進を通して新しい連携が生まれ、研究ネットワークが広がったことも予想していなかった展開であり、研究計画の変更がプラスに働いたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、基礎研究(日本の高等教育機関における国際共修実践実態調査)及び応用研究(海外の理論や実践の日本への適用検討)を実施する。具体的には、国際共修実践校を対象に、国際共修実践の有無、実践経緯、形態、カリキュラム内位置付け、単位付与、指導言語、学習到達目標、授業の課題、評価、成果検証、実践上の課題等を中心にサーベイを用いて調査し、特色ある取り組みについては、フォローアップ事例調査をヒアリングおよび訪問・視察により実施する。また、国際共修関連理論の整理と海外実践の比較研究を通して、多民族国家の欧米豪で発展した理論の日本やアジアの高等教育現場への導入がどの程度、妥当であるか検証を行う。研究の途中経過を研究会、学会、国際シンポジウム等で報告し、国際共修の研究者、教育実践者との議論を通して、本研究の最終目標であるアジア型の国際共修モデル構築に向けた準備につなげる。同時に、国際共修の実践例が少ないアジアでも事例研究を行い、共同研究者を募り、教育実践者と情報交換をしながら、最終的に研究ネットワークもしくは拠点を形成する。 具体的には、既存の西洋をベースとした理論研究、日本・アジアにおける理論構築の基盤作り、欧米豪の実践比較研究をもとに日本およびアジア独自の国際共修のあり方および理論構築をグラウンディッド・セオリー・アプローチを用いて実施する。日本およびアジア特化型カリキュラム・教授法の開発に努めるとともに、効果検証にスポットライトを当てた研究を推進する。学習者の到達目標、実践、評価、学習成果の連動と、専門、習熟度、国際経験等に基づく発展的研鑽を中心に分析を進め、正課のみならず正課外にも研究対象を拡大する。将来的に、「内なる国際化」推進に向けた政策提言につなげるため、これらの成果を国内外の学会等で積極的に情報発信し、再来年度の書籍執筆に向けた準備を進める。
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Research Products
(21 results)