2019 Fiscal Year Annual Research Report
前庭機能の成熟に伴う視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)の発達過程の解明
Project/Area Number |
18H01100
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白井 述 新潟大学, 人文社会科学系, 研究教授 (50554367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
棚橋 重仁 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00547292)
伊村 知子 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00552423)
高橋 邦行 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40452057)
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
杉澤 武俊 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (30361603)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発達 / ベクション / 前庭機能 / 非視覚情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画の主たる目的は、前庭覚や体性感覚への入力、および、自己の身体や周囲の環境についての認知などの非視覚性の情報が、視覚誘導性自己運動感覚(ベクション)の生起過程にどのような影響を与えうるのか、 またそうした影響は、発達にともなってどのような変化を生じるのかを子どもから成人までの幅広い年代を対象として検討することである。
2019年度は、ベクションの心理物理学的測定と前庭機能の評価手法を組み合わせた実験計画ついて、装置、設備の整備や、実験条件の詳細を検討、決定する作業を行った。しかしながら、そうした作業に想定外の時間を要し、当該の実験計画について本格的な実験を開始するには至らなかった。実験を開始する物理的体制はすでに整っているので、次年度に、必要なデータを取得する予定である。 一方で、姿勢制御機能の代表的な測定指標となる重心動揺の測定を、ベクションの測定実験中にリアルタイムに実施可能な実験系の構築を完了し、成人を対象とした予備実験も実施した。その結果、本実験の実施に十分耐えうる機能、精度を有し、かつ年少児から成人までの幅広い世代の参加者に柔軟に対応可能な実験系を構築することに成功した。こちらの実験計画についても次年度早々に実験を開始する体制が整っている。
さらに前年度までに終了した実験計画のデータ解析を終了し、その一部を学術論文として投稿するなど、研究のアウトプットについての進捗もみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベクションの生起特性に関する心理物理学的測定と、前庭機能の評価手法を組み合わせた研究計画が遅延しており、この点では進捗状況が順調であるとは言い難い。一方で、当初計画を発展、拡張させる形で、ベクションと重心動揺の同時測定が可能、かつ小さい子どもから成人まで同じ環境下で実験に参加が可能な実験系を構築し、それらを利用した実験の準備を整えた。こうした発展的な成果によって、前述の進捗の遅れをカバーして余りある程度に次年度の研究実施計画が促進されることが予想されるため、研究計画全体としては概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、ベクションの生起特性に関する心理物理学的測定と前庭機能の評価手法を組み合わせることで、ベクションの生起過程に前庭感度が及ぼす影響が発達の過程でどのように変化するのかを検討する。加えて、ベクションを測定中に身体動揺を測定する研究計画についても並行して実施する。いずれの計画においても、小学生から成人まで、幅広い年代の参加者を対象に実験を実施することで、必要なデータを収集する予定である。こうしたプロセスによって、前庭覚や体性感覚などの非視覚モダリティの機能と、ベクションの生成過程との間の関係性が、発達に応じてどのように変化するのかを実験的、かつ多角的に検討する。
また、すでに2018年度、および2019年度にデータを収集済みの実験計画については、その成果に基づいて速やかに論文を作成し、年度内に国際学術誌上で公刊することを目指す。その他の研究計画についても、随時学会発表などで報告するなどして、本研究計画によって得られた知見を総括する作業も同時進行で行う予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Vection induced by low-level motion extracted from complex animation films.2019
Author(s)
Suzuki, W., Seno, T., Yamashita, W., Ichinohe, N., Takeichi, H., Palmisano, S.
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Journal Title
Experimental Brain Research
Volume: 237
Pages: 3321-3332
DOI
Peer Reviewed
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