2020 Fiscal Year Annual Research Report
モチヴィックガロア群と多重ゼータ値から広がる数学ー整数論からの解放ー
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18H01110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古庄 英和 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (60377976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 浩二 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (30780762)
大野 泰生 東北大学, 理学研究科, 教授 (70330230)
安田 正大 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90346065)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / モチヴィックガロ群 / ダブルシャッフル関係式 / Teichmuller-Legoの哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい研究として正標数の整数論の研究を始めた。正標数の世界でも多重ポリログという関数が考察されている。この関数は冪級数で定義されており、この冪級数の収束半径内でのみこの関数は意味を持っている。Artin-Schreir方程式を使うとこの多重ポリログの定義域を全空間まで広げて解析接続できることに気づき論文にまとめた。この研究については12月に台湾の国立清華大学のオンラインセミナーで発表した。 Mould理論に関する共著論文を大幅に書き直した。最初の版でmouldsで記述した議論はすべてbimouldsに一般化した。この論文ではKashiwara-Vergneリー代数をEcalleのmould理論を用いた再解釈を与え、これよりこれの二重次数版からGoncharvのdihedralリー代数への埋め込みを実現している。またエカールやシュネップスの議論で証明が不完全な箇所を補った。多重L値との関係を詳しくした。2年前から続けていたEnriquez氏と今まで書き上げたシリーズ共著3本(Part I--III)の大幅な改訂がようやく終えられた。この一連の論文では、多重ゼータ値のdouble shuffle関係式に関するRacinetの理論のBetti側の理論の構築している。PartIIIに関する研究を早稲田大学整数論研究集会で(オンラインだが)講演を行なった。 分担者の安田氏は有限体を幾何学的に可視化する理論の構築を目指し,多項式族のモノドロミーについて多くの数値実験を行った。田坂氏は以前の研究で開発したq類似の手法を援用して,Mordell-Tornheim型多重ゼータ値に対する「Kaneko-Zagier予想」の類似を与えた.大野氏は金子-津村型多重ゼータ関数の特殊値の満たす和公式を解明し,既存の双対関係式の拡張となるようなこの関数の特殊値の和の双対関係式の無限系列を証明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で共同研究の遂行に不自由したが、一方で新しく単独で始めた研究が捗った。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が落ち着き次第、出張に出向き、対面でないとでき得ない研究討議を積極的に図る。
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Research Products
(12 results)