2020 Fiscal Year Annual Research Report
Wild motivic integration and application to singularities
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18H01112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安田 健彦 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30507166)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弦モチーフ / 特異点 / 局所エタール基本群 / v関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究において、等標数における野性的Deligne-Mumfordスタック上のモチーフ積分や野性McKay対応の理論を構築していた。今年度はこれらの理論を、特異点の性質を調べることに応用したり、具体的な状況に適用し明示的な公式を導くなどした。 研究協力者の丹野氏は、前年度に研究代表者との共著論文において得られた、巡回群による野生的商特異点の性質に関する結果を、より一般化することに成功した。具体的には、基礎体の標数をpとするとき、以前は位数p^2の巡回群の場合を考えていたが、新しい結果では位数がpの任意の冪となっている。以前に得られていた、このような群に対するv関数の公式を用い、弦モチーフの収束を調べることで、商特異点がKLT、LCなどの性質を持つための条件を導いた。 研究協力者の山本氏は、商特異のクレパント特異点解消のEuler標数に関するBatyrevの結果が正標数では成立しないことを示す例を以前に構成していたが、今年度にその構成を一般化し、このような例の無限列を構成することに成功した。また、野性McKay対応で重要な役割を果たすv関数がガロア群の分岐フィルトレーションから決まるかという以前から懸案となっていた問題に対し、分岐フィルトレーションから決まらない例を構成することで、問題を否定的に解決した。 研究代表者はCarvajal-Rojas氏と共同で、正標数のKLT特異点の局所エタール基本群の有限性について研究し、大きな進展を得た。弦モチーフが特異点の準エタール被覆に対しどのように変化するかを解析することで、任意標数の2次元KLT特異点の局所エタール基本群の有限性を示し、3次元でも部分的な結果を得ることを目指し研究している。2021年度に成果を発表できる目処がついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに得られていた野性的Deligne-Mumfordスタック上のモチーフ積分や野性McKay対応の理論を応用し、商特異やKLT特異点の性質を調べる研究が研究協力者の丹野氏と山本氏、そして研究代表者とCarvajal-Rojas氏の共同研究などにより進展している。コロナ禍で対面での研究集会や他大学の研究者との研究討議が制限され、情報収集や意見交換は計画通りに進められていないことは否めない。しかし、この状況でも可能な研究活動に注力することで、一定の研究成果をあげることができたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、前年度に大きく進展したCarvajal-Rojas氏との共同研究を完成させ、それを論文にまとめarXivなどで公開することを目指す。論文では、任意標数での2次元KLT特異点の局所エタール基本群を、弦モチーフとモチーフ積分理論を用いて調べる内容になる予定である。また、そのための手法として、特異点の被覆に対するアークの持ち上げ可能性の問題と特異点のKLT性の関連を調べる予定である。この研究が完成すれば、従来の理論で扱うのが難しかった、局所エタール基本群の野性部分を調べる新しい手法が得られると期待できる。2次元の場合が解決したら、3次元の解決へ向けた研究へと進んでいく計画である。また、研究協力者の山本氏、丹野氏とこれまでに行ってきた野性商特異の弦モチ ーフの計算やv関数の計算に関する研究も、さらに発展させたいと考えている。従来計算できた群や表現からさらに一般の状況へ拡張していきたい。この分野の重要な問題に、有限群の表現に付随する野性商特異点がKLTやLCになるための条件を純粋に表現論的に記述する、というものがあるが、この問題の解決へ向け研究を推進していく予定である。これらの研究と平行して、代数多様体の具体例計算のため、代数多様体の分類に関連するアルゴリズム的問題についても研究したい。これは、特異点に関する種々の現象を観察するため、計算手法を開発するための基礎研究である。しかし、本研究課題以外でも代数幾何全般に応用されうる、基本的なテーマであると考えられる。具体的には、2つの代数多様体が同型かどうかを判定するアルゴリズムが存在するか、Isoスキームを計算できるか、与えられた可逆層の正性を判定できるか、などの問題を扱う計画である。
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Research Products
(8 results)