2018 Fiscal Year Annual Research Report
Kobayashi-Hitchin correspondence and Donaldson-Tian-Yau conjecture on generalized complex geometry
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18H01120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 竜司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30252571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 新之介 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60646909)
満渕 俊樹 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80116102)
榎 一郎 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20146806)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一般化された複素構造 / 一般化されたケーラー構造 / 小林・ヒッチン対応 / ポアソン構造 / 正則ベクトル束 / アインシュタイン・エルミート計量 / ポアソン モジュール / 安定ベクトル束 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般化されたケーラー幾何学において, 一般化された接続 D は 通常の接続と End (E) 値 TM のセクション V に分解される. このような微分作用素 にたいしては共変微分の合成 DDとして曲率を構成しようとすると, 微分作用素となり, テンソルに ならない.しかし, 多様体上に d-closedな非退化スピノル ψ がある場合は, この非退化スピノルを使い, 一般化された接続に関して モーメント写像の観点から新たに”曲率” に相当する概念を導入することができる. すると, モーメント写像の枠組みが自然に適用され, 一般化された接続に対してアインシュタイン・エルミート条件が得られ, そのモジュライ空間はモーメント写像による有限次元のケーラー商として得られる. さて, 通常のケーラー幾何学において, 多重安定なベクトル束とアインシュタイン・エルミート計量の存在との同値性 (Kobayashi-Hitcihn 対応) は良く知られている. この小林・ヒッチン対応を一般化されたケーラー多様体上のベクトル束の場合に拡張することは自然な問題である. 本年度は一般化されたケーラー多様体上の一般化された正則ベクトル束にたいしてKobayashi-Hitchin 対応を示すことに成功した. この結果は論文にまとめてArziv 上に投稿した.arXiv:1903.07425, Kobayashi-Hitchin correspondence of generalized holomorphic vector bundles over generalized Kahler manifolds of symplectic type
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
この研究計画において、当初の目標としていた、一般化されたケーラー多様体上のベクトル束に関する 小林-ヒッチン対応を示すことに成功した. この結果はモーメント写像の枠組みを用いた一般化された正則ベクトル束の幾何学、特に、アインシュタイン・エルミート計量の定義が適切であることを示している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、一般化された正則ベクトル束のモジュライ空間の研究に進む. 特に、複素曲面上のポアソン・モジュールは対数的な極をもつ平坦接続と密接に関係しており、D-module の研究とも関連し、研究が展開していく可能性を感じている. また、ケーラー幾何学における Donaldson-Tian-Yau 予想の一般化されたケーラー多様体への拡張を目指して、トーリックの場合に様々な実験的な考察を行う予定である. 特に、トーリック複素曲面(実4次元)の場合は、具体的に一般化されたケーラー多様体の構造をトーラス作用に関するモーメント写像などを使い、書き下すことが出来る. これらの具体例を見ると、理論を今後どのように発展させるべきか、非自明な対象であるかなど、様々な知見が得られる. 例えば、一般化されたスカラー曲率を筆者は導入したが、トーリック複素曲面の場合に、一般化されたスカラー曲率は通常のリーマン計量のレビ・チビタ接続のスカラー曲率とも違うし、チャーン接続のスカラー曲率とも異なっていることが、観察され、全く新し数学的な対象であることが確認される. 数理物理の超重力理論において一般化されたケーラー幾何学が研究されており、そこに現われる一般化されたスカラー曲率には、類似性が見られる.
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