2021 Fiscal Year Annual Research Report
Noncommutative analysis based on operator algebras
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18H01122
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 好道 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (00314724)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自由確率論 / ユニタリ球表現論 / リンク / 行列解析 / フォンノイマン環 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き対角型のユニタリ球表現論の抽象化理論を展開した.特に,コンパクト量子群の帰納極限の場合の検討とIII型因子環の構造理論との対比を考察することにより,新しい漸近表現論の枠組を見出した.その結果,可積分確率論の立場で利用されるリンクの概念に対して,群作用付リンクと呼ぶべき構造を見出した.これは量子群のq変形が漸近表現論にどのように反映するかを調べる土台づくりの一環である.昨年度までに実行したこの方向の研究成果の発表も行なった. 半正定値行列あるいは半正定値作用素に対する二項演算の研究を更に推進した.安藤毅によるルベーグ分解に対して新しい視点を導入した.これは指導学生との共同研究である.ルベーグ分解はダグラス分解と呼ばれる基礎定理を一般化するものでその重要性は明確である.また,以前の研究成果に加えてこの研究で,現在知られるすべての作用素二項演算はプッシュ-ヴォロノビッチの二項演算として理解でき,そう理解することがかなり便利であることを明らかにしたと自負している. 自由化確率過程を調べて,そのドリフトがなすヒルベルト空間を構成した.引き続き,関数不等式を現在進行形で調べている.さらに,最新の研究を組み込んで,マルチンゲール問題の研究に進む布石を打った.これは自由確率相互情報量の理論構築の試みの一部である. ここ1,2年でIII型環の理論がこれまでとは異なる形態で物理の仕事に現れていることを知り検討を始めた.特に竹崎構造定理が上手く使われること,自由積が現れる側面があることを確認した.これは作用素環論の可能性を広げるのを目指したものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
着実に成果が上がっている. 具体的には,非可換解析学の展開の一環として,無限次元量子群をモデルとしたユニタリ球表現の抽象化理論の展開を本研究課題の一部として着手し,その基礎の確立に続き,表現空間の次元から来ないリンクを扱うための新しい枠組の発見に至った.これは無限次元量子ユニタリ群の場合で言えば,変形パラメータ依存性を調べる土台と期待されるもので,意味ある進展と考えている. また,非可換解析学の基礎理論に相当するヒルベルト空間上の作用素に関する研究成果も複数得ている.具体的に二つの正作用素に対する関数計算について知見を積み上げることができた.特に,作用素2項演算に関して長年無視されていた重要な視点を発掘し理論整備がすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍もあり1人で研究するのが大部分であったので,今後は競合協同する研究者との濃密な議論を行う機会を積極的に企画する. 具体的には,関係研究者らも徐々に外向きとなってコミュニケーションを取る機運が高まってきている気配を感じることが実際に起こっているので,直接会って議論を行い,アイディアの交換を行う機会を確保する. さらに,そのような機会を利用して,コロナ渦中に得た研究成果を宣伝し,その成果をさらに発展させる努力を行う. また,新奇的な話題に注目して検討を始めているが,実際にナイーブなアイディアを見出したので,必要な情報収集の機会を見出すように心がける.
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Research Products
(4 results)