2019 Fiscal Year Annual Research Report
Entropy dissipative structure and mathematical analysis for complex fluids
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18H01131
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川島 秀一 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (70144631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 良弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50114088)
小川 卓克 東北大学, 理学研究科, 教授 (20224107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 双曲型平衡則系 / 複雑流体 / 消散構造 / 時間大域解 / 減衰評価 / 非線形波 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
複雑流体に関わる様々な非線形偏微分方程式系を対象に、その数学的エントロピー、非線形構造および消散構造に着目し、数理解析研究の新たな展望を開くことを目指して研究を行い、次のような成果を得た。 1.単独の双曲型保存則と Cattaneo 則の連立系である双曲型平衡則系に対し、全空間と半空間の場合に希薄波の漸近安定性を示した。その証明は、希薄波の滑らかな近似からの摂動に対するエネルギー法に基づいている。このエネルギー法では、希薄波の単調性と系の消散構造が本質的な役割を果たしている。複雑流体の非線形波の安定性解析に繋がる研究成果である。 2.複雑流体の空間1次元モデルを考察した。このモデルが双曲型平衡則系で記述されること、数学的エントロピーを有すること、従って対称双曲型系に変換できることを確認した。さらに、安定性条件を満たすこと、従ってその消散構造が標準型であることを確認した。これらの結果として、時間大域解の存在と時間減衰評価を示した。複雑流体モデルの数理解析的視点からの正当化を与える重要な研究成果といえる。 3.導波管内の波動伝播を記述する単独高階の非線形偏微分方程式を考察し、臨界正則指数の Besov 空間において時間大域解の存在と最良の時間減衰評価を示した。その証明では、Fourier 空間でのエネルギー法を用いた基本解の各点評価と Duhamel の原理が重要な役割を果たしている。調和解析的手法が、高階の双曲型方程式に対しても有効であることを明らかにした点に意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初から研究対象としていた複雑流体の最簡約モデルの希薄波の安定性解析、複雑流体モデルそのものに対する数理解析、記憶項を持つ系の消散構造(投稿準備中)、高階の拡散項が非対称の場合の系の消散構造(投稿準備中)等、多くの事項について進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後も当初の計画通り研究を進める予定である。
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Research Products
(34 results)