2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H01191
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉岡 伸也 東京理科大学, 理工学部物理学科, 教授 (90324863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 撥水性 / 滑落性 / セミの翅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である2021年度は、研究を総括することを意識しつつ、追加実験や解析を継続して行った。これまで、電子顕微鏡と原子間力顕微鏡を用いてセミの翅が持つ表面微細構造の観察を行い突起構造の形状、高さ、間隔、配列パターンなどを分析してきた。また、機能面では滑落性と撥水性についてその評価を行ってきた。2021年度は、撥水性(転落角)に関する追加実験を行い評価の精度を高めた。角度を正確に決定するために、レーザ変位計を用いた水平度の確認と、画像解析を用いた試料の傾斜角度の決定方法を導入し、水滴の転落角が小さいことを明らかにした。そのことは静的接触角のヒステリシスが小さいことを意味し、静的接触角が大きいために液面の接触領域が小さいことで説明される。これらのことをCassie-Baxterモデルを用いて解釈することを試みると、突起部分が濡れる割合fが小さいことに帰着される。そこで、尖った突起がある表面において、fの値が決定される条件を明らかにするために、さまざまな構造モデルを仮定し、表面張力の大きさを考慮に入れながら考察を行った。その結果、突起配列において高さと配列に不規則性がある場合には、fは小さく、接触角ヒステリシスが小さくなることが示唆された。また、これらの成果は、異なる乱れ度合いの突起配列を持つ二種類の昆虫、ミンミンゼミとオオスカシバの翅における実験結果と定性的には一致している。 一方、不規則性が光学特性に与える影響を調べるために、コロイド粒子の配列構造における研究を並行して行っている。2021年度は、正20面体の対称性を持つコロイド粒子クラスターに関する研究を進展させた。従来までの報告例よりもはるかに巨大なクラスターを発見し、光学特性を調べた研究成果を論文として発表した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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