2019 Fiscal Year Annual Research Report
最新の超高解像度電波観測データを使ったブラックホールジェット駆動理論の検証
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18H01245
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
當真 賢二 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (70729011)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | ブラックホール / 宇宙ジェット / 活動銀河 / VLBI観測 / MHDシミュレーション |
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| Outline of Annual Research Achievements |
活動銀河核ジェットの高解像度電波観測のターゲットは、近傍で巨大なブラックホールを有するM87銀河である。M87ジェットの中心から遠方に(100-1000 r_g程度)離れた領域の電波画像は、外縁部が明るく、また軸付近も別成分として明るい。我々はそれを利用して非熱的電子の空間分布とブラックホール回転速度を制限するという独自の研究を行ってきている。１年目に構築した電磁場エネルギー優勢の近似ジェットモデルは、上記の三又放射構造を説明する世界で唯一のモデルとなっている。本年度は、粒子の運動も整合的に解くMHDモデルへの拡張を進めることができた。また、引き続き一般相対論的プラズマ粒子シミュレーションのパラメータサーベイを進めることができた。
その他、イベントホライズンテレスコープ(EHT)国際共同研究チームでのブラックホール影の観測とその理論的解釈、乱流によるジェットの新たな加速機構の発見、ガンマ線バーストの残光の電波偏光の初検出とその理論的解釈、ガンマ線バーストの偏光観測を利用したCPT対称性の破れへの制限の研究を応用した原始惑星系円盤の偏光を利用したアクシオンダークマータ仮説への制限等について論文を発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
２年目の計画の通り、ジェットの一般相対論的MHDモデルの構築と一般相対論的プラズマ粒子シミュレーションを実行できた。さらに、イベントホライズンテレスコープ(EHT)共同研究チームの理論班メンバーとして、M87のブラックホール影とリング画像の理論解釈に協力することができた。特に、リング画像だけでは推定できないブラックホールの回転速度について、ジェットの情報から制限をかけることを（ジェットの専門家が少ない）理論班内で推進できた。これは当初の計画以上の成果である。またそれとは別に共同研究者である田中氏（青山学院大）と、これまで知られていなかった乱流によるジェットの加速機構を見出すという成果を上げ、論文を作成できた。受け入れている学振PDの木村氏とは、M87の謎のガンマ線が降着流からの高エネルギー陽子のシンクロトロン放射であるという新理論を提唱することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
ジェットの一般相対論的MHDモデルの構築はこのまま実行できると予想しており、早急に論文化を進める。木坂氏（研究支援者）と共に実行している１次元一般相対論的プラズマ粒子シミュレーションでは、電荷密度がゼロになる面で磁場に平行な電場が生じること、それが先行研究で考えられている電流とは反対向きの電流で生じやすいことをを見出せた。新しい分野として世界的に注目されている一般相対論的プラズマ粒子シミュレーションにおいて、この成果を早くまとめ、分野を牽引する論文とすることを目指す。新しく提唱したM87の降着流ガンマ線モデルでは、ジェット中の電子陽電子の注入モデルにもなっている。これが我々の電波ジェットモデルで示唆される電子の数密度分布と整合的か調べることも進める。
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