2019 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビームを用いた摺動界面のメカノオペランド計測に基づく境界潤滑層の動的挙動解析
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18H01362
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松岡 敬 同志社大学, 理工学部, 教授 (80173813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 朋子 京都大学, 工学研究科, 教授 (00340505)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トライボロジー / 量子ビーム分析 / 表面界面分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械における摺動表面の多くは潤滑油中に晒されており、潤滑下でのトライボロジー現象を真に理解するには、摺動条件下における固液界面の状態を正確に把握することが重要である。実機械においては、潤滑油中に複数の添加剤が配合されており、それらが摺動界面に分子鎖状の境界潤滑層を形成するとされているが、摺動条件下におけるそれらの動的挙動は明らかになっていない。そこで本研究では、申請者らがこれまでに立ち上げてきた量子ビームによる固液界面分析手法に摺動機構を組み込むことにより、摺動条件下における境界潤滑層の動的挙動を明らかにすることを目標とする。本年度は、「研究目標③」として放射光X線吸収微細構造法(Synchrotron-XAFS)と摺動機構の組み合わせによるせん断場にある境界潤滑層の化学状態解析に取り組むべく、その事前分析と装置設計を行った。具体的には、Synchrotron-XAFSビームライン内において、φ10mmのガラス基板に銅を100nm程度蒸着した試料をサンプルホルダーに取り付け、高分子フィルムを用いて基板上に滴下した潤滑油を覆うことによって固液界面環境を構築した。本実験ではPF-AR NW10AのXAFSビームラインにてセル側方からX線を入射し、蛍光法によって吸収プロファイルを取得した。一例として、MoDTCのみを混入した潤滑油およびMoDTCとパルミチン酸を混入した潤滑油を滴下したときのプロファイルの差異を調べたところ、ピーク強度およびピーク位置の違いから、パルミチン酸との併用および銅表面の触媒反応によって当初のMoDTCとは異なる化学構造の物質が生成されたことが示唆された。このように、液中であっても固液界面に存在する反応生成物の化学構造を同定し得ることを確認した。また、ビームライン内で摺動状態を実現するオペランド分析機構を開発した。次年度は摺動を行いながら分析の実現を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標として掲げた内容まで順調に実験が進んでおり、概ね計画通りと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
さらなる研究推進に向け、現在、今年度の実験で見つかった問題点をリストアップし、装置の改良を行っている。次年度は最終年度であるため、遅れが出ないよう研究促進に努める。
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Research Products
(3 results)