2019 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative electric field control by functionally graded materials of conductivity in dc gas insulated electric apparatus
Project/Area Number |
18H01423
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 寛樹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00377772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20228555)
加藤 克巳 新居浜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (20293665)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 傾斜機能材料 / 導電率 / 直流電気絶縁 / ガス絶縁電力機器 / 電界制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、高電圧直流送電におけるガス絶縁開閉装置/送電線路の固体絶縁スペーサに導電率傾斜機能材料(σ-FGM)を適用することで機器内部の電界の制御を実現し、かつ直流電気絶縁設計で問題となっている温度分布やガス中電荷挙動に対してロバスト性を持ちうることを実証することを目的とする。 これまでに、SiCを配合したエポキシ樹脂の導電率の配合率、温度、電界依存性を測定し、そのデータをもとに、HVDC用のGIS/GILスペーサに対してσ-FGMを適用した場合の電界分布のシミュレーションを行った。導電率の分布は、これまでに製作の実績がある誘電率傾斜機能材料(ε-FGM)を適用したGISスペーサにおける分布形状を基にした。電界シミュレーションにおいては過渡的な電界挙動も検討し、導電率分担で電界分布が決定する時定数の評価も行った。その結果、過渡的な状態を考慮すると導電率傾斜のみでは十分な電界緩和効果が得られないことがわかり、当初予定よりも前倒しで導電率と誘電率の両方を傾斜させたε/σ-FGMの検討を開始した。適切な誘電率/導電率の傾斜を設定することで、幅広い運転温度・時間領域において電界緩和効果を発揮しうることがわかり、当初の想定以上にロバスト性を持ちうることが期待できる見込みが得られている。 FGMの絶縁性能評価試験装置の構築は、当初予定よりも温度依存性の考慮が重要であることが判明したため6か月の遅延を生じたものの、試験ができる段階となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FGMの絶縁性能評価試験は、評価試験装置の構築の遅れもあり、やや遅れている。一方で、FGMの設計に対しては当初予定よりも早期にε/σ-FGMの検討を開始しており、温度に対し高いロバスト性を持ちうることが期待できる見込みが得られ、当初計画以上に研究が進捗している。 したがって、全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、導電率傾斜機能材料(σ-FGM)の適用による電力機器内部の電界制御性に学術的裏付けを与えるとともに、σ-FGMおよびε/σ-FGMの作製・評価技術を確立することを目的とする。そのため、設計-製作-評価まで一貫して実施し、それぞれ互いに随時成果をフィードバックしつつ研究を進める。 上述の目的を達成するため、令和2年度においては、導電率の温度依存性や、実現可能な導電率分布範囲の評価結果を反映させ、σ-FGMだけでなくε/σ-FGMにおける誘電率・導電率分布の最適化を検討する。さらに、申請者らが開発した可変配合注型法を用いて、上記で設計された誘電率・導電率分布を持つσ-FGM,ε/σ-FGMを製作する。 また、これらのFGM適用によるSF6ガス中およびSF6代替ガス中における絶縁破壊電圧の向上効果を実験的に評価する。
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