2019 Fiscal Year Annual Research Report
リング共振器型分布ファイバラマンレーザー増幅を用いた長距離光中継伝送方式の研究
Project/Area Number |
18H01447
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐野 明秀 立命館大学, 理工学部, 教授 (20731904)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラマン増幅 / 光ファイバ通信 / コヒーレント光通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案しているリング共振器型分布ファイバラマンレーザー増幅(DRLA)について、周回伝送系に基づく評価実験系を構築し、長距離伝送における性能評価を実施した。また、前方1次ラマン増幅を用いる多中継伝送系において、受信側でのディジタル信号処理(DSP)に基づく偏波クロストーク補償回路を提案し、長距離伝送実験によりその有効性を確認した。 DRLAに関しては、80 kmの標準シングルモードファイバを1スパンとする周回伝送系を構築し、この実験系を用いて従来方式である後方1次励起との伝送特性の比較を行った。この結果、DRLA多中継伝送では10 Gbaudの偏波多重QPSK信号の伝送において5,000 kmを超える長距離伝送が可能であり、従来方式に比べて1.3 dBのQ値改善が可能であることを確認し、実用的な長距離伝送の条件下において提案方式の優位性を実証することに成功した。さらに、DRLAを用いた多中継長距離伝送において、励起光の相対強度雑音(RIN)による伝送特性の影響評価を行った。この結果、前方1次励起光が存在しない場合においても、前方2次励起用光源のRINにより伝送特性が変化することを明らかにした。 次に、前方1次ラマン増幅を用いた多中継伝送について述べる。本方式は1次励起光により信号光を直接増幅するため励起効率が高く、後方1次励起の中継伝送系の特性改善に向けて従来から検討されてきた方式であるが、励起光のRINによる信号品質の劣化が課題になっていた。本研究では、RINトランスファーの解析に基づき、偏波クロストークが大きな影響を及ぼすことを明らかにし、受信側DSP部に1タップの偏波クロストーク補償部を設けることによりこれを補償するアルゴリズムを提案し、長距離伝送実験によりその効果を実証することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
令和元年度における当初の計画は、多中継伝送系において、提案構成による伝送距離の延伸効果を明確にすることであった。この目標は予定通り達成することができ、DRLA中継系を用いることにより伝送距離5,000 kmを超える伝送が可能であることを実証できた。また、前方励起光源のRINの影響解析から、当初計画には無かった偏波クロストーク補償のアルゴリズムを提案し、その有効性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、DRLA中継系における前方2次励起光のRINの影響を緩和し、伝送特性をさらに向上させるための改良構成について検討を行う。具体的には、リング共振器内で発生させる励起光の波長帯域を拡大するとともに、一次励起光が信号光と同方向にも伝搬可能な構成を検討する。本改良構成を用いた多中継伝送実験を実施し、長距離伝送時における信号伝送特性を評価することにより、改良構成の効果を明らかにする。
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Research Products
(7 results)