2018 Fiscal Year Annual Research Report
In vivo dynamic sensing by near infrared mechanoluminescence probe.
Project/Area Number |
18H01453
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
上野 直広 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50356557)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 超男 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (70235810)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 応力発光体 / 近赤外 / 耐水性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体透過性の高い近赤外線(800-1400nm)を発光する近赤外応力発光体の生体センシングへの応用を目指している。本年度の研究実績は以下のとおりである。 応力発光体は連続的な負荷によってその発光強度が減少する。そこで、歩行のような一定の周期を有する負荷現象を想定し、周期的な励起による応力発光強度の低下抑制を実験的に検討した。励起中は発光の観測を行うことができないため、どこまで励起時間を短縮できるかがポイントである。直径25mmのペレット状の応力発光体に周期9[s]、最大荷重500[N]の三角波状の圧縮力を繰り返し印可し、発光強度を計測した。負荷周期に対して0.9%の励起時間で応力発光強度ピークを維持できることを確認した。発光強度観測にはCCDカメラを用いているが、20fpsのフレームレートで撮像しているため、励起時間は1回の撮像時間内に収まっている。 また、近赤外応力発光体Sr3Sn2O7:Nd3+に関して、生体外からの励起を行い、応力発光特性の評価を行った。励起光源としてXeランプを用い、生体組織の薄い層でカバーした応力発光体を塗布した試験片を励起し、そのまま引張試験を行って発光特性を評価した。試験片にはクラックを模擬したノッチが設定されており、ノッチ先端部分の応力集中とその周りの応力分布に対応した近赤外応力発光分布を生体組織を通して観測することに成功した。また、この近赤外応力発光体表面に化学的な修飾を行い、耐水性を付与することに成功している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では応力発光体の励起法の開発と耐水性の付与が主な項目であった。励起法は一般的ではないが個別的な最適励起の設定、生体外からの励起を行うことができたが、生体外からの励起光源の選定やカメラとの同期にやや課題を残している。また、装置の故障と修理のため、実験にタイムロスが発生した。
|
Strategy for Future Research Activity |
応力発光体の発光強度は、作用する力の大きさとその時間微分に相関している。これまでの研究によって発光の大きさとその時間微分から、応力によって発生した歪の大きさを計算する手法がほぼ確立されている。しかしながら、発光の時間微分が必要なため、いかにしてS/N比の優れた発光信号を得るかが大きな課題となる。また、近赤外光は生体内部で散乱されるため、生体外部で観測される応力発光イメージは、本来のイメージからぼやけたものとなる。前者に対して、全画素を座標軸とした超画素空間内における応力発光イメージの軌跡を、主成分分析を用いて低次元化し、滑らかな軌跡に還元する手法を開発する。さらに、ぼやけを一種の画像フィルタでモデル化し、それを基にウィーナーフィルターを構成し応力発光イメージを再構成する手法を検討する。 また、これまでに、従来にない高い発光強度を示すSn3Sn2O7:Ndに対して表面修飾を行って耐水性を付与することに成功しているが、生理食塩水に対する耐性に問題があることが明らかになった。層状の結晶構造への水分子の侵入だけでなく、Naの侵入も防止する必要がある。引き続き表面修飾法を改善し、応力発光体微粒子プローブへ生理食塩水に対する耐性を付与する。また、同時に応力発光体微粒子を包含するバインダについて選定を行い、インプラント表面への接着性へ付与することを可能にする塗膜を開発する。
|