2019 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative nondestructive evaluation of closed cracks using interaction of sound and vibration
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18H01524
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中畑 和之 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20380256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 伸一郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (10304643)
高橋 学 愛媛大学, 社会共創学部, 教授 (20274334)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 閉口き裂 / 振動 / 超音波 / 波形ひずみ / 非線形音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では構造部材をハンマー等で加振し,振動状態にある部位に超音波を送信し,ひび割れ界面の接触・非接触によって超音波の波形がひずむことを利用して,ひび割れを検出・評価する技術の開発を目的とする.本年度は,以下の事柄について研究を遂行した. (1)大断面を有する部材に対するアプローチ 令和元年度は,前年度に引き続き,振動を励起しながら超音波を計測する2種類のシステムを構築した.このとき,振動と超音波の同時制御が必要であり,時刻同期を正確に行うために研究協力者のジャパンプローブ(株)と協働しながら,システム設計・製作を行った.本年度は,衝撃を与えたときをトリガーとして超音波波形を取得する方法と,振動の定常状態において超音波波形を取得する方法の2つを製作した. また,H30年度から疲労き裂を導入した鋼材試験片について超音波の波形ひずみ測定を行っている.これまで,き裂が完全に開口する程の大きな曲げ応力を作用させたが,実用を考えて弾性変形域での応力作用下において波形ひずみが観察できるかを実験した.この結果,透過波に変化が見られ,特に,探触子の位置によっては基本波のフーリエ振幅が大きく変化することがわかった. (2)局所的に発生したき裂に対するアプローチ 疲労き裂を導入した鋼材について,局部的にその進展深さを評価するためにアレイプローブを用いて超音波映像化を行うことを予定しているが,令和元年度は,超音波映像化手法である全波形サンプリング処理方式(FSAP)の電子スキャン装置への実装を行った.波形合成はGPU計算を導入して加速させた.また,大振幅送信に耐えうる鋼材用のアレイプローブを製作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)大断面を有する部材に対するアプローチ 振動と波動の同時駆動システムの構築において,超音波を連続的に繰り返し送信する場合,電圧とPRF(パルス繰り返し周波数)との関係が問題となった.通常,PRFは励起する超音波の周波数にのみ制限を受けると考えていたが,電圧一定で連続的に送信する場合,電圧が徐々に低下する問題が生じた.ここで,基礎実験を行い,通常の超音波探傷の周波数帯域で,PRFをどこまで上げられるか検討を行った.当初の予定では,本システムを用いて試験片での波形ひずみの検討を行う予定であったが,この検討によりシステム開発が遅れたため,試験片を用いた検討は次年度に持ち越す.また,前年度製作した波動の駆動システムを用いて,コンクリート試験片の透過波形計測を行うことも目標であったが,弾性変形域での応力状態での波形ひずみを確認したかったため,鋼材の疲労き裂に対する検討に止まった. (2)局所的に発生したき裂に対するアプローチ 予定通り進行している.本年度は疲労き裂の成長を制御でき,時前で作成した試験片に対して動作確認を行った.FSAP方式による映像化は疲労き裂の端部とルート部を精度良く映像化できた.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大断面を有する部材に対するアプローチ 本年度は,振動を励起しながら超音波を計測するための計測システムを構築した.衝撃をトリガーとしたときに計測を開始するケースと,定常的に振動を与えながら計測を行うケースの2つに対応した計測システムを構築した.次年度は,これらを実際の試験片上で動作させ,コンクリートのひび割れや鋼材の疲労き裂の接触・非接触に伴う波形ひずみについて検証を行う.また,本年度は,鋼材の疲労き裂試験片に対する波形ひずみの検証に時間を割き,コンクリートの検討が叶わなかった.引き続き,コンクリート試験片について検討を行う.曲げ載荷試験を実施し,載荷に伴ってコンクリートに曲げひび割れを発生させる.次年度は,(1)のシステムを用いて振動を励起しながら超音波を送信することで波形ひずみを検出し,荷重状態によってひずみ量が変化することを確認する.最終的には,波形ひずみ量とひび割れの発生量との関係を明らかにする. (2)局所的に発生したき裂に対するアプローチ 本年度は,FSAP方式を電子スキャン装置に実装し,疲労き裂を導入した鋼材について映像化実験のための動作確認を行った.次年度は,コンクリート試験片のひび割れについてアレイ探触子を用いてイメージングを行う.ここでは大振幅超音波を発生する低周波アレイプローブを作成し,開口合成法による映像化を行う.
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