2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of rigid plastic finite element method using nonlinear shear strength of soil material and quantitative analysis of design standard
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18H01533
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
大塚 悟 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (40194203)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 支持力 / 設計式 / 複合荷重 / 限界荷重空間 / 剛塑性有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果を箇条書きにする。 (1)複合荷重に対する基礎の支持力評価: 地盤にDrucker-Prager型の線形強度を用いて,複合荷重に対する基礎の極限支持力解析を実施して鉛直・水平・モーメントの限界荷重空間をモデル化した。砂質地盤および粘性土地盤の限界荷重空間をモデル化した後に,中間土地盤の限界荷重空間を連続性に留意して定式化した。荷重空間は鉛直・水平・モーメントの独立変数の関数で表現されるが,数値解析では複数の荷重経路を用いた検討を実施して,限界荷重空間の唯一性を明らかにした。また,限界荷重空間モデルに基づいて支持力式を構築した。 (2)複合荷重に対する基礎の支持力実験: 砂質地盤に対して偏心荷重に対する支持力試験を実施した。東北硅砂6号を用いた模型地盤は相対密度を変化して作成し,偏心荷重に対する荷重空間を求めた。実験結果のばらつきは比較的大きく,数値解析との整合性については実験精度の更なる向上のほか,相対密度による地盤材料の応答特性や地盤の進行性破壊の影響を含めた多面的な検討が必要である。 (3)非線形強度を用いた支持力解析手法の開発: 地盤に非線形強度モデルを適用して,基礎の寸法効果を考慮した支持力解析を実施した。砂質地盤の場合には豊浦砂の非線形強度特性を用いると建築学会の支持力式における寸法効果を極めて良好に表現できることから,粘着成分を有する中間土地盤に対しても建築学会の支持力式の逆算から得られる強度定数の拘束圧に対する非線形性を中間土地盤に対して適用し,粘着力や摩擦角が変化する条件にて支持力式を検証した。多くの事例解析に基づき,基礎の寸法効果を考慮した支持力式係数の修正式を提案した。 (4)研究成果の公表:上記の研究に基づいて、得られた成果を学会論文集へ投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎の支持力式は従来,砂質土か粘性土の両極端な地盤に対して検討されることが多く,実務で取り扱う中間土地盤については十分な検討が行われていない。本研究では両地盤の中間的な性質を有する中間土の支持力を,粘着力および摩擦角を変化させる数値解析を系統的に実施して,支持力式を提案した。現行設計式に関しては,鉛直・水平・モーメントの複合荷重に対して限界荷重空間をモデル化するとともに支持力式を構築した。現状では中間土の支持力式がやや煩雑なために,支持力式については精度と簡易さのバランスについて検討を行い,更なる改良を行う必要があるが,従来にないモデルを提案した。基礎の接地圧分布を求めると設計法のような単純な分布と大きくことなるため,設計法の精度が心配されたが,設計法に基づいて接地圧分布に等価な集中荷重と偏心量を算出すると設計法は数値解析と同様の結果になることから,設計法が現象の単純化を仮定するものの現象を巧みに表現することを確認した。一方,基礎の寸法効果を取り入れた支持力式については建築学会の支持力式を対象に,中間土地盤に対する支持力係数の修正係数を提案した。検討ではサーチャージ項についても検討して,実務設計条件に対応する支持力式の高度化を図った。未だ課題は残されているものの,中間土地盤の支持力式の構築についてはプロトタイプ・モデルを構築しており,研究はほぼ順調に進捗している。次年度は研究の最終年度に当たるため,成果の高度化と取りまとめを実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、以下の項目に基づいて研究を実施する。 (1) 鉛直・水平・モーメントからなる複合荷重に対する基礎の支持力式および限界荷重空間のモデル化:粘性土から,中間土,砂質土までを包含した統合型の基礎の支持力式および複合荷重空間における限界荷重空間を定式化する。必要な数値解析的検討はすでに終了しており,実務で利用可能な設計式を構築する。 (2) 偏心荷重に対する基礎の支持力実験:砂質地盤の支持力模型実験を実施し,数値解析による支持力式および限界荷重空間の検証を行う。 (3) 基礎の支持力に及ぼす寸法効果の検討と支持力式の修正:基礎の寸法が大きくなると砂質地盤のような摩擦性材料では寸法効果が現れる。その影響は土木構造物では比較的限定的であるが,直接基礎構造の建築物などでは非常に影響が大きくなる。本研究では地盤材料の非線形強度特性を用いて,建築学会の設計基準の修正式を開発する。既存の研究では粘性土や砂質土から成る地盤を対象としており,実際地盤に対して両 極端の地盤条件である。本研究では実務の中間土地盤を対象に支持力式を構築する。 (4) 最終年度のため,成果の取りまとめを行う。また,研究成果の公表:研究成果を学会論文集へ投稿するほか,口頭発表などを利用して成果の広報および普及に務める。
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