2019 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動による河川から海岸への土砂供給量変化を考慮した確率海岸線変化モデルの開発
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18H01538
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有働 恵子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (80371780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 洋史 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70325249)
峠 嘉哉 東北大学, 工学研究科, 助教 (90761536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 広域土砂収支 / 汀線変化 / 土砂生産 / PCR / RUSLE |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,ダム堆砂量,砂利採取量,底質粒径,ならびに汀線変化量のデータを収集し,日本全国の流砂系土砂諸量データベースの構築を行った.また,流砂系の土砂移動に必要とされる降水量,流量,潮位,ならびに波浪のデータを収集した.得られたデータは,土砂生産モデル(RUSLEモデル),混合粒径河床変動モデル,ならびに汀線変化モデル(Cross-shoreモデル)の入力データとして使用した.
現在および将来の降水量データ(d4PDFの大規模アンサンブルデータセット)は,東北地方の降雨強度係数の特性変化について検討するための解析に用いられた.現在気候および将来気候下における降雨強度係数の解析の結果,東北地域の土砂生産量は気候変動によって増加する傾向が見られ,特に現在気候下では確率頻度が低い土砂生産量であっても,将来気候下(2℃および4℃気温上昇)では高頻度で発生し得ることが示された.また,極値依存性については,全ての確率年において将来気候下で極値依存性(低頻度で高負荷の極端現象が長期の積算値に与える影響度)が増加する傾向が見られた.特に,200年確率規模で4℃上昇時の極値依存性指標において4以上の領域が広く分布していた.これは,200年確率規模以上の土砂流出量が,長期の土砂流出量積算値の1/50以上の寄与度を持つことを意味している.気候変動に伴う気象の極端性が増加することで,長期積分値の中で極値が占める割合が増加することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要とされる利用可能なデータを収集し,おおむね予定していた通りに日本全国の流砂系データベース構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
土砂生産モデル(RUSLEモデル),河川土砂輸送モデル(混合粒径一次元河床変動モデル),ならびに汀線変化モデル(Cross-shoreモデル)を構築・改良し,構築したデータベースを用いて各モデルの再現性の確認を行った.来年度は各モデルの改良を行った上でこれらのモデルを結合し,山地から河川,河川から海岸への土砂輸送プロセスの流域一貫モデルを構築する.
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Research Products
(1 results)