2018 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的建築データベースへの災害・学術調査フォーマット機能の付加とシステムの再構築
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18H01613
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池上 重康 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30232169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 幹泰 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (10329089)
永井 康雄 山形大学, 工学部, 教授 (30207972)
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (40721361)
真木 利江 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (60343620)
清水 隆宏 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60435427)
山田 由香里 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (60454948)
玉田 浩之 大手前大学, メディア・芸術学部, 准教授 (70469112)
水野 僚子 日本大学, 生産工学部, 助手 (80736744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | データベース / 歴史的建築 / 災害調査 / 基本台帳 / 建築資料 / 学術調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は自然災害の多い年であった。6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号と24号、そして北海道胆振東部地震、年を超えて2019年2月には北陸地方が記録的積雪に見舞われた。本研究の主幹をなす歴史的建築データベースは、地震被害調査の基礎台帳を主眼に構築してきたが、これら大災害により、地震だけでなく、風雨、雪害にも対応可能なフォーマットの構築が求められることになった。 2018年9月4日、日本建築学会大会(東北)の建築歴史・意匠部門研究協議会「歴史的建築の担い手─新しい保存と活用─」においてパネラーの一人として「データベースの共有」と題して、データベースを核とした歴史的建築の情報共有の方策について発表し、議論を交わした。2019年1月24日には、静岡県建築士会・静岡県ヘリテージセンターの共催による「歴史的建築データベース運用のための研修会」において、「歴史的建築総目録データベースの共有と運用」と題して講演を行い、参加者と研究討議を行った。ここでは、文化庁委託事業である「近現代建造物緊急重点調査」におけるデータベースの利活用に対する各種提言も含まれる。併せて、現在、北海道大学情報基盤センターのクラウドサービスを利用している当データベースを日本建築学会が運用しているアマゾン・ウエッブ・サービスへ移行するための各種手続きについても検討を加えた。 海外の歴史的建築に係るデータベースの先進事例として、オーストラリアのニューサウスウェールズ州、シドニー市、ヴィクトリア州、メルボルン市がそれぞれ運営するヘリテージ・データベースについて調査を行い、現地においてヒアリング調査を行った。 上記、研究討議および調査結果をデータベースに反映すべく、研究分担者とともに研究討議を重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、地震時の被災調査を重点的に想定していたが、それ以外の自然災害があることが、昨年度の事例により明らかとなり、災害調査システムの設計に若干の影響を与えたが、まだ初動段階だったので、研究の進捗に大きな影響を与えることはなく、むしろ、本研究の申請時には想定しなかったことが顕在化したという意味ではプラスに作用したといえる。そういった意味で、暴風害および山火事を起源とする火災の多いオーストラリアの事例は、今後のデータベース構築に参考となるところが大である。 また、データベースコンテンツの整理、収集を通じて、システムの不備をいくつか発見でき、そのうち何点かは、昨年度の内に仕様変更などで解決した。ユーザビリティに関連する部分は、次年度以降のシステムの大体的な更新の際に変更する予定でいる。 特に「近現代建造物緊急重点調査」に関して、事業実施の県において、各種関連機関との連携が構築できた。他に、いくつかの県において、平常時の情報の共有が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは国レベルのデータベースにしか着目していなかったが、オーストラリアのヘリテージ・データベースに見るように、自治体レベルのデータベースに注目すべきものが多くあることが、今年度の調査を通じて明らかになった。二年度目は、自治体レベルのデータベースの先進事例を調査し、本データベースへの反映を検討する。特に個別の建物のみならず、景観地区や伝統的建造物保存地区など、エリアをレイヤーで埋め込むための、先進事例の調査が望まれる。 また、データベースの運用サーバーの移行に合わせ、新規に災害調査システムの構築を始める。実際に災害が発生した状況を想定して、研究分担者とともにシミュレーションしつつシステムの完成を目指したい。
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Research Products
(7 results)