2019 Fiscal Year Annual Research Report
歴史的建築データベースへの災害・学術調査フォーマット機能の付加とシステムの再構築
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18H01613
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池上 重康 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30232169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 幹泰 金沢工業大学, 建築学部, 教授 (10329089)
永井 康雄 山形大学, 工学部, 教授 (30207972)
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (40721361)
真木 利江 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (60343620)
清水 隆宏 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60435427)
山田 由香里 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (60454948)
玉田 浩之 大手前大学, メディア・芸術学部, 准教授 (70469112)
水野 僚子 日本大学, 生産工学部, 助教 (80736744)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歴史的建築 / データベース / 学術調査 / 災害調査 / 近現代建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、北海道大学情報基盤センターのクラウドサービスで運用してきた、日本建築学会編「歴史的建築総目録」データベースを、2019年末に日本建築学会がWebサービスを運営・提供しているAmazon Web Serviceへの移行が完了した。この移行に合わせて、フォーマットの変更に伴う各種マニュアル、ポリシーの更新を行うと共に、データベース利用者より寄せられた改善案を協議検討し、仕様の変更も行った。一番の案件は、データベースに記載すべき「歴史的建築の定義」であり、昨年度より協議を重ね、作文を終えた。近々にホームベージから閲覧できるようにする予定である。 歴史的建築に係るデータベースの先進地事例視察として、中華人民共和国福建省アモイ市にある華僑大学において、建築学部の費教授と研究討議を行うと共に、同大学において、日本建築学会「歴史的建築総目録」データベースと、災害調査(2011年の東日本大震災ならびに2016年の熊本地震)ならびに学術調査(文化庁委託「近現代建築緊急重点調査」)における援用について、所属教員と大学院生、学部学生を対象に講演を行った(通訳は費教授)。講演後の質疑応答は活発に行われ、国の違いによる認識の違い、ならびに普遍的な問題点の抽出と解決策を知ることができた。 学術調査フォーマットについては、現在進行中の「近現代建築緊急重点調査」調査員からの要請に応え、システムに大幅な影響を与えない範囲で修正を加えている。また、本研究の最終目標である災害調査システムの付加については、基本システムの設計を終え、現在運用中のAmazon Web Serviceでの動作検証を始めた。 DocomomoJapan主催のシンポジウム「近現代建築の保存と継承」を企画立案し、北海道大学において2019年12月に開催し、このテーマとデータベースのあり方について議論を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一番の懸念事項であった、安定的に運用可能なクラウドサーバーへの移行が、諸々の問題(制度的、金銭的etc.)をクリアして、3ヶ年の研究の2年度目に完了できたことは、研究の遂行上、順調な進展を象徴する出来事である。中国厦門の華僑大学における研究討議と講演は、今後のデータベースの多様な可能性を示唆してくれる貴重な経験であった。当初は年度末に欧米諸国への事例調査を行う予定であったが、新型コロナ禍により達成が厳しくなったことを考慮すると、夏季休暇中の中国での事例調査はポジティブに働いたといえる。 災害調査システムの構築は、当初より本年度に基本骨格を整え、最終年度に検証と修正を加えることにしているので、この点に関しても順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ禍により、海外の先進事例の視察は困難となったので、これは最終年度に行うことは考えず、参考とすべきデータベースを発見した場合には、eメールによる調査にシフトする。 学術調査システムの充実については、来年度から新しい県(岡山県と香川県)での調査が始まるので、全く新しい視点からのデータベースへの要求が期待できる。可能な範囲で対応して行きたい。 災害調査システムについては、これまで2度の大震災(東日本大震災と熊本地震)で実行した調査システムと本データベースを効果的にリンクさせることが最大の目的である。災害調査をシミュレーションし、瑕疵のないシステムを構築し、来る大災害に備えたい。 また、当初は完成したデータベースシステムに関して、シンポジウムを開催する予定でいたが、新型コロナ禍により、現時点では集会を自粛せざるを得ないので、最終成果の発表を別の方法をとるか、先送りせざるを得ない状況にある。状況をみて判断したい。
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Research Products
(5 results)