2019 Fiscal Year Annual Research Report
強摂動環境下の天体力学の新展開 -超遠方天体への自律ランデブー技術の確立
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18H01628
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
津田 雄一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (50370101)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 太陽系探査 / 誘導 / 航法 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請書に記載の全体計画に基づき,本年度は以下の3つの活動を進めた.このうち1)2)は当初計画に沿った活動.3)は当初計画にはなかったが波及的に実施できた,本研究の成果を拡大しうる活動である. 1)画像航法データベース化の完成:はやぶさ2は2018年6月27日に小惑星Ryuguに到着し,以降たくさんの観測画像データが取得できている.前年度までに完成した画像航法データベースシステムに対して,本年度の作業で観測画像の登録を全て完了した.また,はやぶさ2プロジェクトより提供されたRyugu近傍フェース運用の誘導航法実績の情報を取り込んだ.これらの結果を用いて,小天体および画像航法の研究コミュニティとの研究会等を通じて,画像航法や小天体モデリングに関する論文成果に繋がる貢献をした. 2)画像航法技術の研究:前年度の検討結果に基づき,天体画像処理技術のハードウェア回路を製作した.Vector Code Correlation法を含むいくつかの画像処理アルゴリズムを試行し,ハードウェア化に適した自律光学航法のアルゴリズムを検討した.はやぶさ2の観測データを入力として,模擬的にリアルタイム自律航法を行う仕立てを構築した.また「遠方天体自律相対光学航法」を題材とした研究会を2回開催したほか,初期成果についての学会発表を行った. 3)遠方天体自律ランデブー技術を適用したミッションコンセプトの創出:1)2)の成果をベースとしたミッションコンセプトの検討を開始し,深宇宙ミッション特有の条件を加味したランデブードッキングの技術検討を深めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初掲げた2つの活動項目 1)画像航法データベース化の完成,2)画像航法技術の研究 ともに,当初計画通り進捗した.画像航法データベースの整備は完了し,はやぶさ2の小惑星近傍フェーズの画像データの登録が完了し,2)の画像航法技術の評価基盤の完成を見たとともに,2)における予備的な評価を開始できた.また,1)2)の成果を踏まえたミッションコンセプトの創出を開始できた.
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載の全体計画に基づき,本年度は以下の2つの活動を進める. 1)画像航法技術の実証 前年度の検討結果に基づき,天体画像処理技術のハードウェア回路を完成させ,評価環境を整える.また,昨年度小惑星探査機はやぶさ2ミッションが,小惑星Ryugu上で大きな成果を上げたことから,その実フライトデータを用いて,本研究で検討している画像航法性能の評価を実施する. 2)自律ランデブー技術を活用したミッションシナリオの議論・策定 本研究で実施して来た画像航法技術を用いれば,超遠方天体へのランデブーの扉が開ける.実用性と検討深化の方向性を絞るために,当初計画に従って具体的なミッションシナリオを作成する.またそのために必要なキーとなる検討を進める.検討に当たっては,ミッション経験者や画像航法の専門家を集めた研究会を随時実施する.
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Research Products
(10 results)