2018 Fiscal Year Annual Research Report
TEM内局所力学計測によるBCC金属の転位論モデル解析
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18H01696
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大村 孝仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 副拠点長 (40343884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井 誠一郎 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (60435146)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 転位 / BCC金属 / 塑性変形 / 局所力学挙動 / TEM |
Outline of Annual Research Achievements |
Fe-Ni合金のナノインデンテーション測定によって,圧入変形の負荷過程に発生するpop-in現象を解析した.塑性変形開始の臨界荷重PcとひずみバーストDhの関係を求め,IF鋼やFe-Si鋼と比較した結果,臨界荷重Pc の平均値やPcとDhの比において IF鋼に近い挙動であることが判明した.Fe-Ni合金の脆性延性遷移温度(BDTT)は,IF鋼に対して低温側にシフトすることが知られている.これに対してFe-Siは高温側にシフトすることから,ナノインデンテーション測定を行った室温付近は,IF鋼とFe-Ni鋼においては延性温度範囲,Fe-Siにおいては脆性温度範囲で会ったことが推測され,そのためにIF鋼とFe-Ni鋼の挙動が類似したと考察した.臨界荷重Pc の平均値がIF鋼に対して上昇する理由については,固溶Niが形成する応力場が転位せん断ループの核生成を抑制する働きを持っていると推察した.TEMその場計測では,粒界における転位挙動の一つとして,粒界からの転位生成と推測される挙動が検出された.結晶粒径が小さい場合,粒内転位源の存在確率が低いために粒界が転位源として働くモデルが提唱されており,これを実証する結果である可能性がある.ただし,FIB加工によって作製された試料の問題点として,加工中に試料表面に導入された転位がノイズとして観察の妨げになってしまい,明確なTEM像が得られなかった.これに対して,試料を昇温処理することによって転位回復を促し,試料内の転位密度を低下できる可能性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成功率が低いTEMその場計測においては,得られたTEM像の質が不十分ながら,これを改善する手法について見出している.
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Strategy for Future Research Activity |
TEMその場計測については,力学情報の取得については再現性の高いデータが得られるようになりつつあり,像観察についてものノイズの除去を行う手法の開発ができつつある.ナノインデンテーションで得られる結果と合わせ,素過程に基づく局所的な挙動とマクロ挙動との関係をモデル化することが今後の課題である.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] In-situ transmission electron microscopy investigation of compressive deformation in interphase-precipitated carbide-strengthened α-iron single-crystal nanopillars2019
Author(s)
Gao, M.-Y., Tsai, S.-P., Yang, J.-R., Chang, Y.-L., Ohmura, T., Chen, C.-Y., Wang, S.-H., Wang, Y.-T., Huang, C.-Y.
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Journal Title
Mater. Sci. Eng.
Volume: 746
Pages: 406-415
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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