2019 Fiscal Year Annual Research Report
1細胞内のゲノム構造と転写活性制御を紐解くイメージ・シーケンス統合解析
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18H01801
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細川 正人 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (60722981)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シングルセル解析 / ゲノム / トランスクリプトーム / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
1細胞トランスクリプトーム解析により、転写産物プロファイルを機能発現という「結果」として捉え、個々の細胞の特徴を説明できるように なった。しかし、エピジェネティックな転写制御メカニズムを1細胞レベルで計測するのは未だ困難であり、細胞の多様性を生む「原因」の統 合的な理解には至っていない。そこで本研究では、細胞という1つの空間内で起きる現象の「原因」と「結果」を同時に計測することを目指し 、転写が活性化領域の同定と転写物の定量を網羅的に実行する手法を開発することを目的としている。当初計画では、1細胞単位の計測を目標 としていたが、生体組織構造を保持した状況での時空間的な遺伝子発現状況の評価法にも展開し研究開発を進めている。微小組織領域からの遺伝子発現解析については、RNAの分解および組織からの抽出効率が鍵となることが判明した。このためRNA分解を抑制して再現性高く遺伝子発現解析を実行するプロトコルを開発し、論文報告した。本方法では、オリゴdTビーズを用いて1細胞や微小組織からpoly(A)RNAを回収する方法を採用しており、1細胞/微小組織片単位でRNA精製とゲノムDNAを分離し、個別シーケンスすることの実行性を確認している。今後さらに技術の精度を高めて、1細胞あるいは微小組織からのゲノム解析との統合を目指す。 また、マイクロ流体技術を応用した 1細胞制御技術の応用発展から、ゲノム解析への展開も拓けており微生物では高精度なゲノムシーケンスを達成している。これらの技術を統合して、1細胞ゲノム/トランスクリプトームを統合的にシーケンス解析する技術の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画を一部変更して研究を進め、特に近年注目が集まっている微小組織からのRNA-seqの手法を確立し、論文報告に至った。また昨年度から継続している1細胞ゲノム解析の手法は、原核細胞を対象とした方法で論文報告に至っている。研究目的に向けた技術進捗から派生的な応用が生まれている。エピゲノム解析については進展が少なく、検討要素が多く残るものの全体としては順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
1細胞ゲノム・トランスクリプトームの統合解析を実現すべく、反応条件やその精度評価を進める。各分析単独での実施と同一細胞・サンプル測定時の結果の比較などを行う。 また、モデル細胞株を用い、本手法の適用可能範囲を明らかにする。またATAC-seqを用いてエピゲノム解析も含めた統合的なデータ取得法について更に検討をすすめる。細胞イメージについては近年要求が増している組織レベルでの病理観察像などを指標とし、統合解析を実現する方針を採用していく。
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