2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development and functionalization of NIR-light-responsive diazaporphyrin sensitizers
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18H01961
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
俣野 善博 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40231592)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ジアザポルフィリン / 近赤外光 / 増感剤 / 一重項酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、meso位の窒素上に置換基をもつ5,10,15,20-テトラアリール-5,15-ジアザポルフィリン(TADAP)について、2つの化合物群を新たに構築した。また、窒素上に置換基をもたない5,15-ジアザポルフィリン(DAP)の銅錯体を題材として、その励起ダイナミクスの解明に取り組んだ。TADAPについては、π平面の上下がアルキル鎖で架橋されたストラップ型の誘導体(化合物群I)とmeso位の窒素でトリフェニルアミンが連結された誘導体(化合物群II)を標的とし、代表者らが開発した鋳型環化反応を用いて合成することに成功した。いずれの化合物群においても、20π―19π―18π間の酸化・還元反応は可逆的に進行し、光物性および磁気特性が酸化状態に連動して大きく変化することが明らかとなった。化合物群Iは、アルキル鎖がポルフィリン環の環電流効果を直接反映する。そこで、核磁気共鳴測定と理論計算により18πと20π電子系化合物の環電流効果を評価し、それぞれの芳香族性と反芳香族性を定量化することに成功した。また、化合物群IIは、電気化学的酸化によりアミン部位で酸化的カップリングを起こし、電極表面でポリマー化することが明らかとなった。合成した一連のTADAPの18πジカチオンは長波長可視領域に大きな吸収帯を示すが、化合物群IIについては、電荷移動相互作用に由来する吸収帯が近赤外領域に存在することも確認している。この結果は、増感剤としての利用を図るうえで有用な知見である。一方、DAPの銅錯体については、置換基が異なる数種類の誘導体を合成し、化学的手法を用いて一重項酸素発生効率を評価した。さらに、過渡吸収測定およびリン光寿命測定により三重項励起状態のダイナミクスを調べ、外周部に導入した置換基との関連について明らかにした。得られた研究成果は、4つの学会で発表したほか、1報の論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、計画していた課題全てに取り組み、予定通り合成できた色素については、構造―物性相関を詳しく調べた。また、ストラップ型化合物等の研究を通じて、ジアザポルフィリン環の化学修飾の多様性が大きく拡がった。具体的には、ポルフィリン面の上下の空間にさまざまな機能性官能基を付与することが可能となった。親水性を示す誘導体の課題については学会発表はしていないが、合成の足掛かりは築いている。一方、銅錯体については、可視光照射により生成する三重項の励起ダイナミクスを調べ、ポルフィリンの銅錯体とは大きく異なる挙動を示すことを明らかにした。水溶性化合物の詳しい物性評価には至っていないが、全体としては、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画に沿う形で、医療用増感剤やイメージング材料への展開を視野に入れ、特に近赤外領域に高い吸収特性をもつ水溶性あるいは親水性ジアザポルフィリン誘導体を合成し、置換基と中心金属が光増感による一重項酸素発生効率や項間交差過程に与える影響を明らかにしていく。また、細胞膜透過性が高い誘導体の開発を念頭に置き、置換様式の非対称化を基軸とする両親媒性色素の合成にも取り組む。過渡吸収測定や過渡ESR測定を含む一部の物性評価については、学内外の研究者と協力しながら研究を推進していく予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Synthesis and Optical, Magnetic, and Electrochemical Properties of 5,10,15,20-Tetraaryl-5,15-diazaporphyrin-Tertiary Amine Conjugates2020
Author(s)
Keisuke Sudoh, Yuna Satoh, Ko Furukawa, Haruyuki Nakano, and Yoshihiro Matano
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Journal Title
Journal of Porphyrins and Phthalocyanines
Volume: 24
Pages: 286-297
DOI
Peer Reviewed
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