2018 Fiscal Year Annual Research Report
Building Infrastructure for Active Analysis of Cell Mechanobiololgy
Project/Area Number |
18H02010
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中西 淳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (60360608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上木 岳士 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (00557415)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 時間分解分析 / ハイドロゲル / 細胞接着 / 上皮間葉転換 / 光異性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生命現象や病態における物理的な「力」の作用を探究するメカノバイオロジーという新しい学問領域において,細胞が周囲の力学的特徴を「力覚」するメカニズムを調べる方法論が不足している。本研究では,光照射に応じて弾性率が変化するハイドロゲルを新規開発し,この材料の弾性率変化を介して細胞に時空間が制御された力学刺激を与え,その応答過程を時間分解分析する「アクティブ分析」という方法論を確立することを目的としている。本年度は,上記研究で中心的な役割を果たす光応答ゲルの開発に取り組んだ。具体的には,その構成成分である共重合体(高分子)の合成と評価,並びにゲル架橋化後の膨潤度変化を指標に当該材料の光応答性の評価を行った。 UV/可視光に応じて光異性化するアゾベンゼンを側鎖に有するアクリレート(AzoA)とジメチルアクリルアミド(DMAAm)をジオキサン中で共重合し,P(AzoA-co-DMAAm)を得た。未反応モノマーを透析除去後,得られた共重合体をUV光もしくは可視光で照射し,分光光度計による透過率測定を指標にその相分離温度を求めた。いずれの状態においてもAzoAの含有量を増大とともに相転移温度が低下する傾向が見られた。本研究の用途では,この共重合体が細胞の培養温度(37°C)においてUV/可視光照射に対して溶解/凝集と変化する必要があるが,AzoAの含有率が5.5-6.0 mol%のものがこの条件を満たすことが分かった。つづいて,この線形高分子からN, N’-メチレンビス(アクリルアミド)を架橋剤に用いてゲル化し,光照射前後での膨潤度変化を求めた。いずれのゲルもUV/VIS光に対して可逆的に膨潤・収縮し,現時点までに最大15%の膨潤度変化を示す組成を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光照射に応じて膨潤・収縮するゲルが完成した。ゲルの膨潤度は弾性率と逆相関の関係にあるため,この結果は所望の機能を示す光機能材料の開発に成功したことを意味している。また,ゲル組成の系統的な検討と,その膨潤度変化率および相分離温度への影響に関するデータも蓄積しており,ゲルの光応答性のチューニングする指針も見えてきている。以上より,当初の計画通りに概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したゲルについて,レオメーターによる力学測定を行い,UV/VIS光照射前後でのゲルの弾性率を求める。この光応答ゲル上に接着斑関連タンパク質を蛍光標識した上皮細胞を付着させる。その細胞に対して,光照射によるゲルの弾性率変化を介してその細胞に力学刺激を付与し,その力覚応答を蛍光イメージングによって評価し,アクティブウォッチングのための技術としての本戦略のバリデーションを行う。
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Research Products
(17 results)