2019 Fiscal Year Annual Research Report
Macroporous monoliths surface-modified with MOF using precise ligand exchange
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18H02056
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 和樹 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (00188989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 主祥 京都大学, 理学研究科, 助教 (60452265)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MOF / 階層的多孔構造 / 自己集合 / 相分離 / 細孔構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度には、酸化物表面での金属有機構造体の形成と制御の基盤となる金属酸化物の組成から結晶相・結晶性、そしてメソ・マクロスコピック領域までの構造の制御を目指して材料合成を網羅的に行い、特に酸化鉄モノリスの独立階層構造制御を報告した。H31年度も引き続き、純粋な酸化物のみで構成された遷移金属酸化物モノリスの新規構造・組成制御手法として、非水系溶媒を主成分とした相分離制御手法を拡張して、酸化クロムモノリスの階層構造制御を実現し、特にこの系について表面への MOF の析出と制御を試みた 。 その結果、基材である酸化クロム多孔体の構造制御は十分可能となったが、得られた MOF/Cr2O3 については MOF 相の結晶性を向上させることは難しく、また 表面の結晶化 比率を上げようとすると、基材の酸化物相によって形成された明確な階層的構造が一部崩れるという問題点が露見した。そのため、この酸化物表面に対する MOF 析出の試みプロジェクトは続けつつも、これまでの検討から行かされた知見を活かすことによって、MOF 単体での階層的な構造制御へと重点を移行した。 MOF の階層的な多孔構造制御は、高機能性材料である MOF の性能を格段に高める可能性を秘めているが、その階層的な構造を特にデバイスサイズにまで自在に制御することは従来困難であった。本年度、金属と配位子の自己集合過程をトリガーとして、ナノレベルでは配位高分子の短距離秩序をもちながら、長距離秩序のない金属有機ゲル(MOG)を基盤として、階層的多孔構造をもつ MOF の新たな作製法を確立した。すなわち、MOF の自己組織化誘起相分離法により、MOF のマクロ孔メソ孔の階層的な独立構造制御を可能とした (Y.Hara et al. Angew.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
過年度、材料科学分野のトップジャーナルに酸化物多孔体の基礎となる研究を報告し、本年度はその知見を拡張して、従来にはない新規 MOF の階層構造制御手法を確立することにも成功した。この研究内容についても査読段階から高い評価を受け、一般化学のトップジャーナルである Angewandte Chemieに採択された。酸化物多孔体の基礎を固め、さらに重合反応によって誘起される相分離を金属有機構造体(MOF)の自己集合過程でも誘起することに成功した。多孔体分野において重要なターゲットであったMOFのメソ・マクロ孔構造制御に成功した。得られた材料構造は、 IUPAC 基準における trimodal 独立細孔構造制御という一つの到達点を達成したと考えられる。したがって研究は当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たっては、階層的多孔構造の各階層の細孔サイズ・容積を精密に制御したMOF材料を用いて、特にUiO-66系で知られている触媒性能やガス吸着性能(速度論を含む)が、従来の微粒子系材料と比較してどの程度優れているかを定量的に調査する。MOG経由で多孔体骨格全体を結晶化させた材料と、酸化物多孔体骨格表面でのMOF結晶化を行った材料の、上記機能面での比較も行い、本研究計画全体の取りまとめを行う。
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Research Products
(7 results)