2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02078
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
韓 礼元 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, NIMS招聘研究員 (20531172)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ペロブスカイト太陽電池 / 計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高効率を示したヘテロ接合構造ペロブスカイト太陽電池を中心に、材料物性およびヘテロ接合に関して、種々の測定法を用いて、ペロブスカイト太陽電池を構成する要素の理解・解明を行う。 本年度では、これらの測定ために、高効率なデバイスの作製を検討した。ペロブスカイト太陽電池各層の製膜条件、各層の膜厚の最適化、ペロブスカイト層の結晶性向上等に関する検討を行った。その結果、変換効率18-20%のデバイスを再現性よく作成できた。 上記デバイスを用い、光照射による安定性を行った。安定する性能を得るため、デバイスは計測前に数分間光照射が必要であることを見出した。次いで、我々は表面電位を高い空間分解能で計測することができるケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)を用いて、ペロブスカイト太陽電池の評価を行った。具体的には、光照射によって生じる電位分布変化を測定することで、p-n接合が形成される位置や電荷分離に関する考察を行った。KPFMの測定方式の検討・確定を行う中で、当初の予想に反し、太陽電池セルは測定中劣化が起こり、明確なシグナルを得ることができないことが判明した。種々の解析により、これは空気中の水分による劣化であることが分かった。そこで、我々はKPFM測定装置を窒素フローしたグローブボックス中に移動して測定を行った。安定なシグナルを得ることができた。また、その他の測定でも、膜やセルを空気との接触を最大限に減らす必要がある。そのため、不活性ガス雰囲気下で測定する必要があることを判明した。今後、そのような条件で種々の測定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、我々は開発した高効率を有したヘテロ接合構造ペロブスカイト太陽電池を中心に、材料物性およびヘテロ接合に関して、種々の測定法を用いて、ペロブスカイト太陽電池を構成する要素の理解・解明を行う。今年度は本研究の初年度として、高性能のデバイスの再現性良く作製条件の検討を行う。また、測定の設備の準備、測定条件の探索を計画している。 上記計画に対して、本年度は下記の研究成果を得た。 まず、ペロブスカイト太陽電池各層の製膜条件を検討した。ペロブスカイト層の結晶性の向上、結晶粒形制御、電子輸送層およびホール輸送層の膜厚の最適化を行うとともに、界面層や電極の最適化により、変換効率18-20%のデバイスを再現性よく作成できた。次いで、計測において再現性の良いデータを得るため、測定前にあらかじめ数分間光照射が必要であることを見出した。さらに、ペロブスカイト太陽電池デバイスは空気中において劣化が起こるため、測定装置を窒素フローしたグローブボックス中に置き、安定なシグナルを得た。 以上により、計画のとおりに研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本年度で作製した高効率を有するヘテロ接合構造ペロブスカイト太陽電を用い種々の測定法を用いて、ペロブスカイト薄膜中のキャリアの輸送特性の解明、逆構造のヘテロ接合の原子スケール構造観察とキャリア収集特性との相関解明、光励起キャリアのダイナミクスとその制御要因の解明を行う。その知見をベースに、デバイス特性の理解およびデバイス物性の創出を行い、ペロブスカイト太陽電池の高効率化と高信頼性化を行う。
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