2019 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical Biology for Parkinson's disease
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18H02099
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60213253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉木 臣二 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00339996)
野田 展生 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 部長 (40396297)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パーキンソン疾患 / オートファジー / ビリルビン / 凝集タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は様々な運動障害を引き起こす神経変性疾患であるが、発症機構は不明で根本的治療薬は開発されていない。我々はこれまでに申請者らはPD患者脳で観察されるたんぱく質凝集をクリアランスする2種類の化合物と,PDのバイオ マーカーを指標にしたスクリーニングから1化合物の計3化合物を取得した. 1)たんぱく質凝集をクリアランスするSO286化合物の作用機構解析:SO286物質がその細胞内標的たんぱく質Xの結合領域を同定した.また,タンパク質Xをノックダウンすることで,細胞内の凝集タンパク質が形成され,この凝集形成はSO286によってクリアランスされなかった.ことから,タンパク質Xが凝集クリアランスに関わっており,SO286はタンパク質Xを介して,凝集タンパク質のクリアランスβに関わっていることが明らかになった. 2)たんぱく質凝集をクリアランスするSMK-17化合物の作用機構解析:タンパク質凝集クリアランスにオートファジーが関与することから,様々なオートファジー誘導剤について作用機序と神経保護活性を統合した解析をおこい,ケミカルゲノミクスの手法を用いてオートファジー誘導パターンを分類した.その主成分分析の結果, SMK-17のオートファジー誘導シグナリングが明らかになり,この経路を介して凝集タンパク質のクリアランスを誘導することが明らかになった. 3)PDバイオマーカーを指標にしたPD病態改善化合物BRUP-1:PD患者で減少するバイオマーカーであるビリルビン量を回復させる化合物の探索により,BRUP-1を同定した.さらにBRUP-1によるビリルビン量を上昇させるメカニズムを明らかにし,その作用点がKeap1とNrf2の結合阻害であることを明らかにした.また,BRUP-1は凝集タンパク質の形成を阻害することを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PDモデル細胞系でタンパク質凝集をクリアランスする化合物 SO286はその結合タンパク質Xへの結合領域を同定した.この結合領域は特定の立体構造を持たない天然変性領域であること,また, この領域を欠失した変異タンパク質Xは凝集タンパク質のクリアランスができないことから,この領域が凝集タンパク質クリアランスに重要な役割を演じていることを示すことができた.また,この天然変性領域はLLPS形成に関わっていることが予想され,SO286の凝集タンパク質クリアランス誘導作用は,タンパク質Xの天然変性領域に結合してLLPS形成促進を介している可能性をさらに強く示唆した. 凝集タンパク質クリアランスにオートファジーは関わっていることから,ケミカルゲノミクスによりオートファジー誘導剤について作用機序と神経保護活性を統合した解析をおこなった.その主成分分析からSMK-17のオートファジー誘導シグナリングを明らかにするとともに,アルツハイマー症治療薬メマンチンがERストレスを介してオートファジーを誘導することを明らかにした.このことから我々のケミカルゲノミクス解析が疾患治療薬の作用機構解析に有効であることが示された. PD患者で低下している細胞内ビリルビン量を回復させる化合物のスクリーニングからBRUP-1を同定した.その機構について解析を行った結果,BRUP-1がKeap1/Nrf2の結合を阻害し,遊離したNrf2が核内移行して転写因子として機能し Hemooxygenase-1を発現誘導させてビリルビン量を上昇させることを明らかにした.さらにBRUP-1はPDモデル細胞系で細胞内活性酸素を消去させて神経保護活性を示し,さらに凝集タンパク質のクリアランスを誘導した.これらの結果から,BRUP-1は新しいPD治療薬の有望なシード化合物であることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
1)たんぱく質凝集をクリアランスするSO286化合物の作用機構解析:SO286物質の細胞内標的たんぱく質Xは天然変性たんぱく質であり,昨年度,タンパク質XがLLPSを形成することを示した.そこで今年度は,たんぱく質XによるLLPS形成の機構解析やLLPS形成に及ぼすS0286物質の影響を検討する.さらに,タンパク質Xのどの領域がLLPS形成に関わっているのか,また,LLPS形成が凝集タンパク質クリアランスにどのように関わっているのかを,LLPS構造体の形成や動態,さらにはSO286による構造体形成の影響をイメージングを用いたムービーで検証する. 2)たんぱく質凝集をクリアランスするSMK-17化合物の作用機構解析:これまでに本化合物がTorin1などのmTOR依存的オートファジー促進剤とは異なった機構でオートファジーを促進することを見出してきたが,昨年度は本化合物がタンパク質Yの活性化を介してオートファジーを促進することを明らかにした.そこで,今年度はSMK-17がタンパク質Yを活性化することで誘導されるオートファジー誘導機構を解析する.さらにSMK-17がどのような機構でタンパク質Yを活性化するか,その標的タンパク質の解析を通して解明することを目指す. 3)PDバイオマーカーを指標にしたPD病態改善化合物BRUP-1:PD患者で減少するビリルビン量を回復させる化合物の探索により,BRUP-1を取得した.今年度はBRUP-1のPDモデル細胞での薬理活性を検証するとともに,BRUP-1の類縁化合物のビリルビン上昇活性を検討し,その機構解析から BRUP-1の最適化を試みる.
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Research Products
(3 results)