2022 Fiscal Year Annual Research Report
肥料として農地に投入されたリンが土壌微細構造内で不均一に蓄積するメカニズムの解明
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18H02116
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山口 紀子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, グループ長補佐 (80345090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 還元溶解 / リン / 鉄プラーク |
Outline of Annual Research Achievements |
水田では、湛水による還元の進行にともない土壌中の鉄鉱物が還元溶解し、鉄鉱物に収着していたリンも溶解する。しかし還元状態の土壌中であっても酸化的な部位が存在する根の近傍では、還元により溶出した2価鉄とリンが再沈着し、集積する。一方、アルミニウム鉱物に収着したリンは、還元状態でも容易に脱離せず、作物が利用しにくい形態のまま土壌に蓄積すると考えられる。本研究ではアルミニウム鉱物に富む黒ボク土における還元環境下の根近傍のリンの分布と形態の特徴を明らかにすることを目的とした。 灰色低地土、および化学肥料あるいは堆肥を長期間連用してきた黒ボク土より中干開始時に、土壌を採取した。土壌薄片を作成し、根と土壌の接触面近傍に存在するリンの形態、およびリン、鉄等の分布の関係をX線吸収スペクトル微細構造(XANES)および電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)により分析した。 灰色低地土では、根の近傍に沈着した鉄鉱物(鉄プラーク)上に、周囲の土壌よりも高濃度のリンが鉄鉱物への吸着態として集積していた。一方、黒ボク土では、根の周辺に鉄プラークが沈着しているにもかかわらず、リンは集積しておらず、根近傍へのリンの集積がアルミニウム鉱物の高いリン吸着能により制限されていることが示された。堆肥連用土壌には、根から離れた領域にリンと硫黄が共存し、リン濃度が局所的に高いスポットが複数存在していた。堆肥連用土壌におけるリン濃度の高いスポットは、施用した堆肥片に由来する可能性が高く、堆肥施用区では、土壌鉱物へのリンの収着が阻害されている可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)