2018 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的二次代謝活性化を誘発する複合培養法の作用機構解明
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18H02120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾仲 宏康 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (80315829)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共培養 / 天然物スクリーニング / 抗生物質生産 / 二次代謝産物 / 放線菌 / ミコール酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌は多様な二次代謝を行うが、これまでに発見された二次代謝産物はほんの一部であり、未発見の潜在的二次代謝産物が多数存在することが近年明らかとなった。このような潜在的二次代謝産物の発見により新たな医薬品の開発へとつながることが期待できる。申請者らは、潜在的二次代謝を活性化する手法として「複合培養法」を確立し、これまでに23種類の新規二次代謝産物を発見している。これは、放線菌の生息する土壌環境にヒントを得、ミコール酸含有細菌(MACB)と放線菌を混合培養することによって放線菌の潜在的二次代謝を活性化する手法であるが、その分子機構は未解明のままである。複合培養はMACBの生産する特定の物質による信号伝達ではなく、MACBが放線菌に物理的に接触することによって刺激が伝達される。本研究では、変異株解析による遺伝子同定アプローチを中心に、複合培養活性の機構解明を分子レベルで以下の2つの研究計画に従って進めた。 研究計画1、複合培養非感受性変異株の解析による複合培養作用機構の解明 放線菌側に変異処理を施し、ミコール酸含有細菌と接触させても二次代謝を活性化しない変異株を作製し、その変異遺伝子の同定から、複合培養作用機構の遺伝子レベルでの解明を目指す。変異株の親株にはStreptomyces coelicolor A3(2)を用い、変異原には重イオンビームを用いた。現在、有望変異株からの変異点の解析を行っている。 研究計画3,複合培養を用いた潜在的二次代謝産物の探索 複合培養スクリーニングにより新規物質Catenulobactins、Mirilactams、Umezawamidesを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画1、複合培養非感受性変異株の解析による複合培養作用機構の解明に関しては、変異株の変異点の同定が進まず、まだ遺伝子の特定に至っていないのは少し、計画より遅れている。しかしながら、研究計画3,複合培養を用いた潜在的二次代謝産物の探索においては複合培養スクリーニングにより新規物質Catenulobactins、Mirilactams、Umezawamidesと3種類の化合物を発見した。これは想定以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画1、複合培養非感受性変異株の解析による複合培養作用機構の解明 早急に変異点の同定を行い、複合培養に関連すすと思われる変異遺伝子に関しては、相補株の作製、過剰発現株の作製を行い、その遺伝形質と具久郷培養の関連性に関して明らかにする。 研究計画2、網羅的転写解析による複合培養時特異的に転写される遺伝子の特定 研究計画1によって得られた変異株において、RNAseqを行い、複合培養における変異遺伝子の関与に関して解析を行う。 研究計画3,複合培養を用いた潜在的二次代謝産物の探索 引き続き新規化合物の探索を行う。放線菌の自然環境下からの分離についても同時に進め、より多くの放線菌との複合培養を実施したい。
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