2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of the functions of the saccus vasculosus of fish in the regulation of seasonal reproduction
Project/Area Number |
18H02276
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
飯郷 雅之 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10232109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚類 / 季節繁殖 / 血管嚢 / 季節センサー / 性中枢 / 光受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の血管嚢,脳,下垂体,生殖腺などで発現する遺伝子のカタログ化と,季節繁殖制御遺伝子群の網羅的同定 昨年度に引き続き,長日繁殖魚であるトラフグの定期サンプリングを行い,血管嚢,脳,下垂体,生殖腺,頭腎などを採取した.Total RNAを抽出し,逆転写した後,リアルタイムPCR解析に供し,季節繁殖制御遺伝子群の発現量解析を行なった.また,短日繁殖後であるサクラマスの血管嚢,松果体,網膜,脳,下垂体をさまざまな条件で採取し,次世代シーケンサーによる網羅的mRNA塩基配列決定(mRNA-Seq)に供した.血管嚢,松果体,網膜の季節繁殖制御遺伝子群の網羅的同定を試みた. 2.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の性中枢同定 性中枢に発現する遺伝子群であるkisspeptinをコードするKISS2,GTH分泌調節に関与する新規ペプチドLPXRFamideをコードするRFRP,それらの受容体であるGPR54とRFRPR,生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)などの発現部位をin situハイブリダイゼーションや免疫組織化学により調べるため,繁殖期のサクラマス早熟オスと未熟オス,未熟メスの脳の灌流固定を行い,試料を作成した.また,ラジオイムノアッセイによるGnRHおよび甲状腺ホルモン測定を試みた.さらに,液体クロマトグラフィー質量分析計による季節繁殖関連分子定量系作成を開始した.CUBICを用いた脳の透明化を開始した. 3.光受容体遺伝子群,温度受容体遺伝子群の同定 トラフグの血管嚢,松果体,網膜に発現する光受容体遺伝子群,ならびに光シグナル伝達関連遺伝子群を網羅的に同定するための準備が整った.また,先進ゲノム支援のサポートを得て,サクラマスの血管嚢王冠細胞のシングルセルmRNA-seqを行い,個々の王冠細胞の遺伝子発現プロファイルを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長日繁殖魚のトラフグと短日繁殖魚であるサクラマスの季節繁殖制御機構の比較検討を行うためのサンプリングや試料採取が完了した.光受容器官から脳への神経投射の検討も開始した.先進ゲノム支援のサポートを得て,サクラマスの血管嚢王冠細胞のシングルセルmRNA-seqを行い,個々の王冠細胞の遺伝子発現プロファイルを明らかにすることもできた.また,新規mRNA-seq解析技術であるLasy-Seq次世代の導入の準備も整った.CUBICを用いた脳の透明化を開始し,脳全体の分子の分布を調べる礎も構築された.
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Strategy for Future Research Activity |
1.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の血管嚢,脳,下垂体,生殖腺などで発現する遺伝子の遺伝子発現量の変動をmRNA-seq(Lasy-Seqを採用予定)により網羅的に調べる. 2. ラジオイムノアッセイ,液体クロマトグラフィー質量分析装置,in situハイブリダイゼーション,免疫組織化学等により季節繁殖関連分子の発現部位を同定するとともに発現量の変動を調べ,実験対象とする魚類の性中枢を同定する. 3.光受容体と性中枢の関連について, DiI等のトレーサーを用いた神経投射同定により性中枢への入力の可能性を探る.また,脳の透明化技術を併用して研究を進める.
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