2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of the functions of the saccus vasculosus of fish in the regulation of seasonal reproduction
Project/Area Number |
18H02276
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
飯郷 雅之 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10232109)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 魚類 / 季節繁殖 / 血管嚢 / 性中枢 / 光受容体 / 温度受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は以下の研究を実施した. 1.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の血管嚢,脳,下垂体,生殖腺などで発現する遺伝子のカタログ化と,季節繁殖制御遺伝子群の網羅的同定 各魚種の産卵期にあわせて長日条件下および短日条件下,高温および低温条件下で上記の魚種を飼育し,血管嚢,脳,下垂体,生殖腺,頭腎などを,日長変化前と日長変化後,定期的に採取した試料を用いて,次世代シーケンサーによる網羅的mRNA塩基配列決定(mRNA-seq)に供した.得られた塩基配列をアセンブルし,発現するすべての遺伝子のカタログを作成した.得られたリードをアセンブルされたコンティグまたはゲノムDNAの塩基配列にマッピングして,発現量が日長変化および温度変化により変動する「季節繁殖制御遺伝子群」候補を同定を試みた. 2.光受容体遺伝子群,温度受容体遺伝子群の同定 対象魚種の血管嚢,松果体,網膜に発現する光受容体遺伝子群を網羅的に同定するとともに,DiI等のトレーサーを用いた神経投射同定により性中枢への入力の可能性を探った.しかしながら,新型コロナウイルス感染症のため共同研究先に出張して実験を行うことができず,マッピングを完遂することはできなかった.また,哺乳類においては,9種のTransient Receptor Potential(TRP)チャネルが温度センサーとして温度応答に重要な役割を果たしている.そこで,季節センサーである血管嚢や性中枢にTRPチャネルが発現して温度に応答し,生殖腺発達の「温周性」に関与している可能性を検討するため,TRPチャネルの同定を試みた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
mRNA-seqによる「季節繁殖制御遺伝子群」候補の同定,新規光受容体遺伝子の同定,TRPチャネルの同定など,季節繁殖に関与する分子の同定はおおむね順調に進展したと考えられる.新型コロナウイルス感染症のため共同研究先に出張して実験を行うことができず,神経投射同定のためのDiIなどを用いたトレーサー実験を推進することができなかったのが残念である.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに引き続き以下の研究を実施する. 1.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の血管嚢,脳,下垂体,生殖腺などで発現する遺伝子のカタログ化と,季節繁殖制御遺伝子群の網羅的同定 2.長日繁殖魚,短日繁殖魚,周年繁殖魚の性中枢同定 3.光受容体遺伝子群,温度受容体遺伝子群の同定
|