2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H02313
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 暁史 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20598601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱本 昌一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30581946)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 根圏 / 代謝物 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
根圏は「植物根から影響を受ける土壌領域」と定義され、根圏が土壌微生物の活性が高く、植物の生育に重要であることは広く受け入れられてきた。近年、次世代シーケンサー技術の発展により根圏の微生物叢を包括的に解析することが可能となり、根圏微生物叢は植物の健全な生長に重要な役割を担うと示唆されるなど、根圏微生物叢と植物生育の関係性について世界中で研究が進められている。根圏は植物微生物相互作用の中心的な領域であるが、土壌のどこまでが「根圏」なのかは不明である。根圏は植物根からの影響を受ける領域であるため、シグナル物質である植物二次代謝産物の動態を理解することが根圏の理解には必須である。しかし、根圏シグナル物質として機能する植物二次代謝産物の根圏での動態と機能は分子レベルでは解明されておらず、植物と根圏微生物叢の相互作用の解明への大きな障壁となっている。本研究では、根圏シグナル物質に着目して根圏をモデル化することを目指している。 ダイズ根から分泌されるダイゼインの土壌中での動態を、移流分散方程式を基にしたダイゼイン移動の支配方程式に土壌中での分配係数や一次分解速度定数といったパラメータを組み込むことでシミュレーションした。また、実際の生育環境である圃場土(灰色低地土)で、根近傍の濃度が生育初期で最も大きいことが示唆された。これらの結果を3種類の根箱装置および疑似根を用いた装置を用いて検証したところシミュレーションと同等の結果が得られた。土壌中の有機物や粘土鉱物組成が動態に与える影響も明らかにし、植物根から分泌された代謝物の移動についての考察を行った。さらに、特性の異なる豊浦砂を用いた解析(シミュレーション及び根箱装置を用いた実証試験)も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
灰色低地土を用いた根圏シミュレーションとその検証について計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
根箱装置を用いたシミュレーションの検証に成功したが、今後様々な条件での検討を行うために疑似根を用いた装置を開発している。2019年度は動態の異なる代謝物を用いた測定や、分子レベルでの解析に注力する。
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Research Products
(14 results)