2019 Fiscal Year Annual Research Report
AIMによるマクロファージ特異的アポトーシスの機序解明とこれを利用した腫瘍治療
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18H02340
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米澤 智洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10433715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盆子原 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (50343611)
角田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80345032)
前田 真吾 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80755546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病態 / 内科 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
実験①-(1)は、2018年度にタグ付き組換えイヌAIMとイヌ組織球性肉腫細胞株の抽出蛋白質の共免疫沈降を行い、質量分析を行った。これにより、細胞内に置いてあるアポトーシス関連因子とAIMとの結合性が高いことが明らかとなった。この結果をもとに2019年度は、実験①-(2)としての各種阻害剤を用いてアポトーシスの細胞内シグナル伝達経路との関係については詳細に調べ、ミトコンドリア膜上での作用であることを明らかにした。 実験②-(1)では、2018年度にイヌ組織球性肉腫およびヒトの類縁疾患患者から得た検体に対してAIMの免疫組織化学、WB、qPCRなどを行った。必要になる症例の組織試料採集を精力的に進めるとともに、本学にすでに蓄えてある検体の解析を終了した。この成果をもとに2019年度は研究分担者や、私立の二次診療施設に検体の共有を依頼し、さらに多くの検体を集めて生存曲線との相関を明らかにした。 実験③-(1)では2018年度に症例犬と健康犬の腫瘍部位および非腫瘍部位におけるAIM遺伝子変異を調べたところ、症例犬においてAIMの複数のSNPsが存在する可能性が示された。このSNPsはAIMの機能、ひいては腫瘍の悪性度、さらには様々な腫瘍組織におけるTAMとAIMの関係に関与する可能性がある。2019年度には、マクロファージだけでなくその他の白血球の一部にもAIMの発現があることを、qPCR、二重免疫染色、FCMを用いて明らかにした。2020年度は他の細胞についても研究を進める。 本研究の成果は2019年6月に開催された国際学会American College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM) にて口頭発表した。また、2020年2月には日本獣医内科学アカデミーで口頭発表し、研究アワードを受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験①-(1)は、2018年度にタグ付き組換えイヌAIMとイヌ組織球性肉腫細胞株の抽出蛋白質の共免疫沈降を行い、質量分析を行った。この結果をもとに2019年度は、実験①-(2)としての各種阻害剤を用いてアポトーシスの細胞内シグナル伝達経路との関係については詳細に調べ、ミトコンドリア膜上での作用であることを明らかにした。2020年度はマクロファージ以外の細胞でも同様の機能が認められるかを明らかにする。 実験②-(1)では、2018年度にイヌ組織球性肉腫およびヒトの類縁疾患患者から得た検体に対してAIMの免疫組織化学、WB、qPCRなどを行った。この成果をもとに2019年度は研究分担者や、私立の二次診療施設に検体の共有を依頼し、さらに多くの検体を集めて生存曲線との相関を明らかにした。実験②-(2)では、2018年度にイヌ組織球性肉腫の担がんマウスにAIMを投与して、腫瘍サイズ、悪性度、安全性を評価した。2019年度も引き続き本実験を繰り返して注意深く解析した。 実験③-(1)では2018年度に症例犬と健康犬の腫瘍部位および非腫瘍部位におけるAIM遺伝子変異を調べたところ、症例犬においてAIMの複数のSNPsが存在する可能性が示された。このSNPsはAIMの機能、ひいては腫瘍の悪性度、さらには様々な腫瘍組織におけるTAMとAIMの関係に関与する可能性がある。2019年度には、マクロファージだけでなくその他の白血球の一部にもAIMの発現があることを、qPCR、二重免疫染色、FCMを用いて明らかにした。 本研究の成果は国際学会American College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM) にて口頭発表した。また、日本獣医内科学アカデミーで口頭発表し、研究アワードを受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実験計画は3つの柱(実験①~③)で構成されている。実験①は、AIMのアポトーシス促進作用の分子機構の解明である。(1) タグ付き組換えイヌAIMとイヌ組織球性肉腫細胞株の抽出蛋白質の共免疫沈降を行い、質量分析によってAIM受容体/結合蛋白質を同定する。 (2) AIMとともに各種 阻害剤を添加したときの細胞の反応を観察し、AIMのアポトーシス経路や(1)で得た関連因子の役割を明らかにする。実験②は、AIMを利用したマクロファージ由来の腫瘍の治療である。(1) イヌ組織球性肉腫およびヒトの類縁疾患患者から得た検体に対してAIMの免疫組織化学、WB、qPCRなどを行い、AIM発現と悪性度や予後との関連を明らかにする。(2) イヌ組織球性肉腫の担がんマウスにAIMを投与して、腫瘍サイズ、悪性度、安全性を評価する。十分な効果が得られれば、臨床治験を開始する。実験③は、AIMを利用したTAMの駆逐による腫瘍 の駆逐による腫瘍の薬剤耐性化阻止である。(1) イヌおよびヒトの様々な腫瘍組織におけるTAMとAIMの関係をFCM、免疫組織化学、WBで調べるとともに、TAM初代培養系を駆使してAIMによるTAMの分化制御機構を明らかにする。(2) 薬剤耐性腫瘍の担がんマウスにイヌAIMと抗がん剤を投与して、腫瘍サイズやTAM残存数の評価を行う。十分な効果が得られれば、獣医療・ヒト医療への臨床治験を開始する。去年度までに、実験①から、AIMのアポトーシス関連因子に結合して作用すること、実験②から、症例犬と健康犬の遺伝子変異を調べたところ、症例犬においてAIMのSNPsが存在する可能性が示された。これらの結果を踏まえて、本年度は上記計画の実験③に注力し、研究を進める。また、本研究計画の総括として、データを取り纏め、論文として公表することに力を入れる。
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Research Products
(17 results)