2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of growth arrest-induced primary cilium formation
Project/Area Number |
18H02398
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 健作 東北大学, 生命科学研究科, 名誉教授 (70128396)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 繊毛 / 細胞増殖 / 微小管 / ユビキチンリガーゼ / 中心体 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次繊毛は細胞外からの多様なシグナルを受容し伝達するアンテナとして、細胞の増殖・分化の制御や組織の形成、維持に重要な役割を担っている。本研究では、増殖抑制シグナル依存的な一次繊毛の形成機構を解明することを目的として、主に血清飢餓刺激による母中心小体からのCP110/CEP97複合体の分解、除去機構、およびCP110/CEP97結合タンパク質であるCEP104の機能について解析し、以下の結果を得た。 1)血清飢餓刺激依存的なCEP97の分解に関わるユビキチンリガーゼとしてCul3-KCTD10-Rbx1複合体を同定したので、このリガーゼの活性化機構を解明するため、KCTD10およびCEP97の結合タンパク質のプロテオーム解析を行い、数種の新規な結合タンパク質を同定した。KCTD結合タンパク質の優性不活性型変異体の過剰発現によってCEP97の母中心小体からの除去が抑制されることを見出し、このタンパク質がCEP97の分解に関わることが示唆された。 2)Cep104のTOGドメインは微小管重合活性をもち、この重合活性のない変異体を用いたレスキュー実験により一次繊毛の軸糸の伸長にTOGドメインの微小管重合活性が必須であることを示した。また、Cep104の各ドメインを欠失した変異体を作成し、ジンクフィンガードメインやSXIPモチーフは必要でなく、N末端のJelly-rollドメインが必須であることを明らかにした。 3)NDRは一次繊毛形成に関わるプロテインキナーゼであるが、今年度、NDRの結合タンパク質であるFurryの機能について解析した。Furryのノックアウト細胞は繊毛形成には影響しなかったが、Hippo経路の転写補助因子であるYAPの核局在を著しく阻害することを見出した。FurryはNDRの活性化と、YAPへの直接結合によって、YAPの細胞質への繋留に関わることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、CEP97の分解に関わるユビキチンリガーゼの活性化機構について解析し、その結合タンパク質を同定し、CEP97の分解を促進する因子を同定することに成功した。また、CEP104の繊毛形成における機能の解析も進んでいる。これらの成果は、一次繊毛の形成機構を理解する上で重要な進展であり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)CEP97/CP110の分解、除去機構については、今年度同定した結合タンパク質について、さらに発現抑制実験や阻害剤を用いた実験によって、CEP97のユビキチン化や繊毛形成に対する効果を解析し、増殖抑制刺激依存的なCEP97の分解と一次繊毛形成の分子経路を解明していく。 2)CEP104の一次繊毛形成機能については、この遺伝子の変異がJoubert症候群と呼ばれる繊毛病を引き起こすことが知られていることから、CEP104のHedgehogシグナル経路における機能を解析し、繊毛病との関連を明らかにする。
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