2018 Fiscal Year Annual Research Report
3細胞結合領域の細胞間隙バリアの分子機構と生理的意義の解明
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18H02440
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
古瀬 幹夫 生理学研究所, 生体機能調節研究領域, 教授 (90281089)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞間接着 / 上皮バリア機能 / タイトジャンクション / アンギュリンファミリー / 3細胞結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. MDCKII細胞からアンギュリン1をゲノム編集により欠失させ、内在性のアンギュリンファミリーを欠いた細胞(アンギュリンKO細胞。樹立済み)の細胞の凍結割断レプリカを電子顕微鏡観察したところ、トリセルラーコンタクトにおいて本来は接着している2本のタイトジャンクションストランドが明らかに分離していると解釈できる像が得られた。さらに、細胞シートに水平に薄切した超薄切片の電子顕微鏡観察では、本来完全に閉塞して見えるトリセルラーコンタクト領域がアンギュリンKO細胞では明らかに開いて隙間が存在していた。ゲノム編集法により、トリセルリン欠失MDCK細胞を樹立した。 2. イヌ腎臓cDNAからイヌアンギュリン2cDNASをクローニングした。一方、アンギュリン3cDNAはまだ取得できていない。 3. アンギュリン1(LSR)腸管上皮特異的欠失マウス(cKOマウス)の小腸の表現型として、小腸が雄で1.4倍、雌で1.2倍、有意に長くなっていることが確認された(23-29週齢, n=3)。Ussing チャンバーを用いた電気生理学的測定では、小腸の特に上部で、経上皮電気コンダクタンスの低下が観察され、3H-Mannitolや14C-PEG4000の傍細胞透過はcKOマウスとコントロールで変化がないか、cKOマウスの方が低下していた(連携研究者との共同研究)。 4. CRISPR/Cas9システムにより、アンギュリン3の遺伝子欠失マウスの作製に着手した。マウスゲノムに変異が導入できたことを確認しており、継続して系統の樹立を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンギュリン欠失上皮細胞株の電子顕微鏡レベルでの形態学的異常が観察できている。腸管上皮特異的アンギュリン1欠失マウスの腸管の電気生理学的解析から上皮輸送の異常の可能性を示唆するデータが得られている。また、アンギュリン3KOマウスの作出が予定通り進んでいる。以上の理由から、研究計画はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
アンギュリン欠失上皮細胞株の表現型をさらに詳細に解析する。具体的には、アンギュリン欠失とトリセルリン欠失を比較し、さらには二重欠失の効果も検討して、アンギュリン欠失上皮細胞に見られる表現型がトリセルリンに依存するか否かを解明する。腸管特異的アンギュリン1欠失マウスについては、形態学的変化を更に例数をあげてデータを取得するとともに、前年度までに示唆された上皮輸送の以上のメカニズムの解析を共同研究により進める。アンギュリン3欠失マウスについては系統の樹立を進め、アンギュリン3欠失の確認および脳のバリアの解析を開始する。また、アンギュリンが3細胞結合部位に濃縮する仕組みは本研究とも関連が深いため、本研究に組み込んで論文化に向けて研究を推進する。
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Research Products
(5 results)